REGULAR

PART 2:How to fix English football――イングランド・フットボールの直し方

2020.07.11

【短期集中連載】Football is broken. We need to fix it.

 まずは背筋が寒くなるような数字を紹介しよう。2018-19シーズン、チャンピオンシップ(イングランド2部リーグ)の24クラブは平均的に見て、収入の「107%」を人件費に注ぎ込んだのである。

 少し冷静になって考えてほしい。例えばあなたが会社の経営者だとする。1万円の収入のたびに、社員に1万700円も支払ったらどうなるだろうか? もちろん人件費以外にも出費はある。それがチャンピオンシップの現実であり、あくまで平均値なのだ。イプスウィッチ・タウンは、平均の「107%」を費やしながら3部に降格した。一方で見事にプレミアリーグ昇格を果たしたアストンビラは、「175%」も給料に費やす危険なギャンブルを行っていた。20位でなんとか降格を免れたレディングに至っては「226%」。決して誤植ではない。226%である。1万円の収入に対して2万2600円の給料を支払ったのだ。

 これこそ、お金がイングランド・フットボール界を歪めている、これ以上ないほどの証拠である。

PL勢とその他、2部と3部以下でも広がる格差

……

残り:2,937文字/全文:3,433文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

Profile

ベン メイブリー

1983年、英国サマセット州・トーントン生まれ。プレミアリーグ、UEFAチャンピオンズリーグ、ベルギーリーグなどを担当するフットボール解説者。J SPORTS『Foot!』のプレミアリーグコメンテーターとして現在8年目。DAZN『Football Freaks』のレギュラーコメンテーター、スカパー!『Football TimeLine』のフットボールキュレーターを務め、『The Guardian』紙や『BBC』など英国メディアにも寄稿する。オックスフォード大学卒。

RANKING