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失意の前半戦はステップアップへの助走期間。サガン鳥栖・日野翔太がつかみつつある確かなきっかけ

2024.07.19

プロビンチャの息吹~サガンリポート~ 第5回

思い描いていたような時間は過ごせなかった。予定されていた時期より1年前倒しでサガン鳥栖へと加入することを決断した日野翔太だったが、迎えた今季の前半戦ではなかなか本来の力を発揮できず、スタメンの座を勝ち取るまでには至らないまま、目標としていたパリ五輪メンバーからも落選してしまう。それでも、地道な努力を積み重ねてきたことで、ようやく浮上のきっかけをつかみつつある日野の現状を、杉山文宣に伝えてもらおう。

不退転の決断。1年前倒しでの鳥栖加入

 日野翔太は野心と希望に満ちあふれていた。大学サッカー界有数のタレントと評されたアタッカーは拓殖大学3年生だった昨年5月にサガン鳥栖への加入内定を決め、特別指定選手としてリーグ戦4試合に出場。また、Bチームの位置づけではあったが、アジア大会に臨むU-22日本代表にも選出。自身にとって初めての代表と国際大会を経験。大学生という立場ながら得難い貴重な経験を積んだ。

 大学3年生時の5月という早い段階で鳥栖への加入を決めたが、その背景にはいち早く高いレベルを経験したいという思いがあった。

 「より高いレベルで練習や試合をしたいなと大学2年のときくらいからずっと思っていました。その中で早めにオファーをくれたのが鳥栖でした。ほかのクラブからオファーが来る可能性もあるので待つという選択肢もあったかもしれないですが、大学でのレベルに少し、物足りなさも感じていたのは正直な気持ち。早くプロ入りを決めて、プロの環境でプロのレベルを体感したかったし、鳥栖の練習環境が本当に良いなと感じたので決めました」……

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Profile

杉山 文宣

福岡県生まれ。大学卒業後、フリーランスとしての活動を開始。2008年からサッカー専門新聞『EL GOLAZO』でジェフ千葉、ジュビロ磐田、栃木SC、横浜FC、アビスパ福岡の担当を歴任し、現在はサガン鳥栖とV・ファーレン長崎を担当。Jリーグを中心に取材活動を行っている。

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