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J3最少失点の秘密。SC相模原の堅守を支える渡辺彰宏GKコーチと水本裕貴コーチの教え

2024.03.29

相模原の流儀#2

2023シーズンにクラブ創設者の望月重良氏から株式会社ディー・エヌ・エーが運営を引き継ぎ、元日本代表MFで人気解説者の戸田和幸を指揮官に迎えたSC相模原。ピッチ内外で体制を一新しながらJ2復帰を目指す中、“緑の軍団”が貫く流儀に2021年から番記者を務める舞野隼大氏が迫っていく。

第2回ではJ3第6節時点で失点をリーグ最少タイの3に抑え、粘り強さを発揮している堅守の秘密を探る。

 今のSC相模原を一言で表すとするなら“粘り強い”。

 J3リーグ戦6試合を終えて、失点数はわずか「3」と最小タイ。合計で50本のシュートを浴びながら複数失点がないことも特筆すべき点だ。先日の第6節・ツエーゲン金沢戦で0-1と今シーズン初めての黒星を喫したが、ここまで2勝3分1敗。勝ち点をしぶとく積めていることで7位につけている。

 「自分たちの場合、あくまで守備はボールを奪うための作業。『守る』と『奪う』ではイメージは違う」

 戸田和幸監督がそう語っているように、相模原は自陣で引き込んでロングカウンター狙いのサッカーをするのではなく、前から積極的にプレスをかけにいくことがベース。相手の前進を止めつつ、なるべくゴールに近い場所でボールを奪い、得点の確率を上げるためにプレーしている。ただ当然、全部が全部うまくいくわけではなく、押し込まれることもある。その時に、選手がシュートに対して身体を投げ出すブロックで弾き返し、粘り強くゴールを守り抜く場面が今シーズンは多く見られる。

“あと一歩”を結果に結びつけるGKコーチの帰還

 開幕節のギラヴァンツ北九州戦では14本のシュートを受けながら無失点に抑え、1-0で制した。ペナルティエリア内から打たれることもあったが、GKの三浦基瑛が「ディフェンスがコースを限定してくれたので、あとは触るだけだった」と正面に飛んできたボールをセーブするシーンも散見された。

 第2節・ヴァンラーレ八戸戦もクリーンシートに抑えてみせた。1点リードで迎えた試合終了間際、相模原は押し込まれる時間が続いた中での無失点勝利。「プレシーズンのトレーニングマッチでも、最後の3試合はいずれも無失点で、実は5試合連続で失点してない」と戸田監督は明かし、北九州戦の堅守が偶然ではなかったことを証明した。

 思い返せば昨シーズンは、第2節の福島ユナイテッドFC戦で2-1と勝利を収めたものの15試合勝ちなしを味わった。内訳は7分8敗。負けてしまったすべての試合が1点差での黒星で、若く経験値の少ない選手たちは懸命に奮闘したが、あと一歩”を結果に結びつけられないでいた。

 今シーズンになって、何が変わったのだろうか。昨シーズンの戦いを経て、選手たちがたくましく成長した──。それも1つの要因として考えられるが、それだけでなく、新たに加わった渡辺彰宏GKコーチ、水本裕貴コーチの教えが大きく影響している。……

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Profile

舞野 隼大

1995年12月15日生まれ。愛知県名古屋市出身。大学卒業後に地元の名古屋でフリーライターとして活動。名古屋グランパスや名古屋オーシャンズを中心に取材活動をする。2021年からは神奈川県へ移り住み、サッカー専門誌『エル・ゴラッソ』で湘南ベルマーレやSC相模原を担当している。(株)ウニベルサーレ所属。

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