REGULAR

久保建英とソシエダがぶち当たった「超一流の壁」

2024.02.19

サッカーを笑え #2

グループステージを33分無敗で首位通過し、迎えた214日のCL決勝ラウンド初戦。ソシエダはパルク・デ・プランスで58分にムバッペ、70分にはバルコラにゴールを奪われ、パリ・サンジェルマンに先勝を許した(第2レグは35日に開催)。

「しかも…がある」パリSG選手たち

 ソシエダがパリ・サンジェルマンに敗れた。敵地での2-0は意外な結果ではない。前半の展開を見れば、もっと良い結果を望めたが、90分間で見れば力の差が正直に反映されたスコアだ、と思う。

 ソシエダは一流のチームで久保建英は一流の選手だが、パリ・サンジェルマンと選手たちは「超一流」だ。レベルが違う。それがわかった試合でもあった。

 超一流とは何か?

 技術、アスリートとしての能力、体格がいずれもトップレベルにあることだ。

 例えばスピード。

 ムバッペのランは「追い着いた」と思ったところから、もう一伸びがある。5分、スビメンディのボールロストからムバッペが飛び出したシーン。スベルディアがカバー良く追い着いたが、シュートを阻止できなかった。デンベレも速い。35分、ル・ノルマンがイエローカードをもらったシーンでは、3人抜かれて4人目の彼が足を引っかけるしかなかった。爆発的で最初から速いムバッペと比べると、デンベレのランは歩幅が長く、徐々にスピードが乗っていく。ムバッペがスプリンターならデンベレは中距離走者といったところか。

 リーガにも速い選手はいるが、速く走りながら(あるいは急ブレーキ後に)繰り出す技術のレベルが高くない。スピードの反動で崩れた体勢からムバッペのように強く正確にシュートを打てたり、加速と減速を繰り返して相手を腰砕けにする選手、デンベレのように左右にスラロームしつつ突破し、例えば69分の2点目を演出したような絶妙のサイドチェンジを出せる選手はいない。あそこまで両足が使え、まったくドリブルとパスの出てくる方向が読めない選手はいない。

 総じて、パリSGの選手たちは「しかも……がある」選手だった。技術があるのは当然として、それにプラスαがある。ムバッペのプラスαはスピードとぶれない体幹、デンベレのそれはスピードと両利き。前半、左SBを好サポートし久保のストップ役となっていたファビアン・ルイスのプラスαは、状況判断力と強靭な肉体。いずれも磨きがかけられて、ベティス時代より一段上の選手になっていた。マルキーニョスのそれは状況判断力と体使いのうまさと長身サディクにも競り勝てるジャンプ力、ハキミのそれはスピードと走行距離の長さ、ダニーロのそれは技術不足をも補う肉弾戦全勝の高さと強さ、バルコラはゴール時に見せた爆発的なスピードとアクション実行の速さ(GKが股を閉じる前に高速でシュートした)……。

 これら「しかも」は単なる+(足し算)ではなく×(かけ算)で表記した方が、実態に近い。というのも、「足が速くて+技術のある選手」と「スピードに乗って×技術を発揮できる選手」とはレベルが段違いだからだ。通常、スピードが上がれば技術の精度が下がる。よって、一流でもハイスピードとハイテクニックは両立しづらいのだが、超一流では両立している。

超一流相手の一流の消耗

……

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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