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ドイツサッカー界の最高齢審判員は“ペーネ川のフットボールおばあちゃん”

2019.12.04

ドイツにいる「75歳」の審判員

 FIFA国際大会の“最年長出場記録”をご存知だろうか。昨年のワールドカップで、エジプト代表のGKエサム・エル・ハダリが45歳161日の大会記録を打ち立てたのは記憶に新しい。だが、記録保持者は彼ではない。

 2013年、ビーチサッカー・ワールドカップにてオランダ代表のロエル・リーフデンが46歳261日で出場しており、それが最年長記録だという。しかし、これはあくまで「選手」の話だ。同じピッチに立つ審判員となれば違ってくる。1920年のアントワープ五輪でサッカー競技の決勝戦(ベルギーvsチェコスロバキア)を担当したジョン・ルイス主審は、当時65歳165日だったという。

 しかし国際舞台に限らなければ、上には上がいる。FIFAによると、ドイツには「75歳」の審判員がいるという。それがハイディ・ヴェグナーさん。女性の審判員である。彼女はこれまでにジュニアサッカーから高齢者サッカーまで数千もの試合を担当し、今ではドイツの現役最高齢審判員だそうだ。

キャリア50年以上の大ベテラン

 1944年生まれのヴェグナーさんは「1968年に(ドイツの)ペーネ川の造船所の地域大会で審判を務めた」とキャリアを振り返ったことがある。資格を持たずに100試合以上も裁いたあと、ライセンス取得を決めたという。

 75歳になった今でも「若い審判よりも動いている」と自負し、1試合に数kmは走る。体力維持の秘訣はサイクリングやハイキングだという。審判員は1年に3回の試験が義務付けられているが、ヴェグナーさんは一度も落ちたことがないそうだ。それだけでなく、少年サッカーのコーチを30年以上も務めたことがあり、2014年にはドイツサッカー連盟に表彰された。

75歳の今なお現役で審判員を務めるハイディ・ヴェグナーさん

 “ペーネ川のフットボールおばあちゃん”の愛称で親しまれるヴェグナーさんがサッカーに出会ったのは幼少期。父と一緒にボールを蹴るようになり、その後はストリートサッカーを楽しみながら、学校ではハンドボールで腕を鳴らしたという。そして審判員を始めると、ドイツ北部、メクレンブルク=フォアポンメルン州の地域サッカーの試合で、50年以上も笛を吹き続けている。

 ドイツでは2017年にビビアナ・シュタインハウスさんが女性として初めてブンデスリーガで主審を務めて話題になったが、女性審判界には「楽しいから続けているのよ。健康にもいいしね」と語る“ペーネ川のフットボールおばあちゃん”のような功労者もいるのだ。


Photo: Getty Images

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ハイディ・ヴェグナー

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。