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ツエーゲン金沢が新スポンサーと迎える10年ぶりのJ3。改革の進行を待つ【特集:J3に落ちたときに大事なこと】

2024.01.04

J3に落ちたときに大事なこと#6 ツエーゲン金沢の場合

近年の競争激化で、J2からJ3に降格したクラブは簡単には上がれなくなった。今J3で何が起きているのか、降格した後チームは何をどう準備すべきか。降格経験のあるクラブの番記者が降格当時の事情、そしてその時に何が大事だったかを振り返る。

最終回は、2023シーズンのJ2で最下位に終わったツエーゲン金沢。2014シーズン以来となるJ3での戦いについて、村田亘が現実を直視しつつ展望する。

 J3降格が決まった時から聞こえてくる「1年で復帰」という宣言。クラブのトップや選手たちは言わなければいけないのだろうが、それが難しいことは歴史が示している。

 J3の創設は2014年。その年の富山から昨年の琉球、岩手まで15クラブが降格の憂き目に遭ってきた。しかし実際に1年で戻ったのは大分ただ1つ。J3では桁違いの営業収入を誇る松本も、J3では十分ビッグクラブの北九州や岐阜も成し遂げられなかった。さらに来年はもう1つ反則級の大宮が加わり、営業収入で10億に達している今治もJ3に残っている。

 それに対し金沢は決算が公開されている昨年度までの営業収入では6、7億が主で、2022年度だけ8億台に伸ばした。ただ、その年もスポンサー収入では全58クラブの中、下から10番目。資金的にはJ3が妥当なクラブだったとも言える。

 また、事実上10月にはJ3降格や監督退任が決まっていた金沢だが、新監督決定は12月初旬まで待たなければならなかった。柳下監督が7年もの長期に渡って個性的なサッカーを繰り広げていたこともあり、伊藤彰新監督は数カ月でチームを刷新して、結果も出すという困難なミッションと向き合うことになる。

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Profile

村田亘

編集プロダクション勤務を経て2013年にフリーに。エルゴラッソの記者、編集部勤務を経て故郷の石川県にUターン。2019年からツエーゲン金沢を中心に取材を続ける。