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「あらゆる点において、日本の選手たちが上回っていた」完敗ドイツの視点から見た日本戦

2023.09.13

日本代表欧州遠征2023徹底分析#5

カタールW杯でベスト16入りした森保一監督率いる日本代表は、続投が決まった指揮官の下で新チームが始動。「ポゼッションの質を上げる」ことを新たなテーマに掲げ、特に[4-3-3(4-1-4-1)]で臨んだ6月のエルサルバドル(〇6-0)、ペルー(〇4-1)との2連戦では新しいチャレンジへの可能性を感じることができた。9月のドイツ、トルコとの2連戦は、第二次森保体制の最初の分岐点になるだろう。約4カ月後のアジアカップ、そしてその先のW杯予選に向けて、様々な角度から欧州遠征を分析してみたい。

監督の進退が懸かった一戦と報じられる中、ホームに迎えた日本相手にカタールW杯での雪辱を果たすどころか、1-4というスコアはもちろん内容でも完敗。あっけなく返り討ちに遭ったドイツ側の視点に立ち、チーム内の声も交えて試合を振り返る。

 強いチームというのは個人のアクションが足し算や掛け算になり、まるで1人多くプレーしているかのように感じさせるものであろう。アイディアがシンクロし、美しいダイナミズムが生まれることがチームスポーツの醍醐味である。

 だが9月9日(日本時間10日)、ボルフスブルクのフォルクスワーゲン・アレナのピッチに立ったドイツ代表は、その真逆だった。攻守において基本が無視され、互いのサポートが乏しく、選手が孤立。足し算どころか引き算をしているようなチームになり下がっていた。

 キャプテンのイルカイ・ギュンドアンのこのひと言がすべてを表しているだろう。

 「あらゆる点において、日本の選手たちが上回っていた」

 ドイツは日本に1-4で惨敗し、試合翌日にハンジ・フリック監督が解任された。監督解任は123年間のドイツ代表史において初めてのことである。

試合中、うつむきベンチへ歩くフリック。わずか25戦で任を解かれることになってしまった

 いったいドイツ代表に何が起こったのだろう?

「悪くなかった」立ち上がり後に露呈した“悪癖”

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日本代表欧州遠征2023徹底分析

Profile

木崎 伸也

1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。