
「あらゆる点において、日本の選手たちが上回っていた」完敗ドイツの視点から見た日本戦
日本代表欧州遠征2023徹底分析#5
カタールW杯でベスト16入りした森保一監督率いる日本代表は、続投が決まった指揮官の下で新チームが始動。「ポゼッションの質を上げる」ことを新たなテーマに掲げ、特に[4-3-3(4-1-4-1)]で臨んだ6月のエルサルバドル(〇6-0)、ペルー(〇4-1)との2連戦では新しいチャレンジへの可能性を感じることができた。9月のドイツ、トルコとの2連戦は、第二次森保体制の最初の分岐点になるだろう。約4カ月後のアジアカップ、そしてその先のW杯予選に向けて、様々な角度から欧州遠征を分析してみたい。
監督の進退が懸かった一戦と報じられる中、ホームに迎えた日本相手にカタールW杯での雪辱を果たすどころか、1-4というスコアはもちろん内容でも完敗。あっけなく返り討ちに遭ったドイツ側の視点に立ち、チーム内の声も交えて試合を振り返る。
強いチームというのは個人のアクションが足し算や掛け算になり、まるで1人多くプレーしているかのように感じさせるものであろう。アイディアがシンクロし、美しいダイナミズムが生まれることがチームスポーツの醍醐味である。
だが9月9日(日本時間10日)、ボルフスブルクのフォルクスワーゲン・アレナのピッチに立ったドイツ代表は、その真逆だった。攻守において基本が無視され、互いのサポートが乏しく、選手が孤立。足し算どころか引き算をしているようなチームになり下がっていた。
キャプテンのイルカイ・ギュンドアンのこのひと言がすべてを表しているだろう。
「あらゆる点において、日本の選手たちが上回っていた」
ドイツは日本に1-4で惨敗し、試合翌日にハンジ・フリック監督が解任された。監督解任は123年間のドイツ代表史において初めてのことである。

いったいドイツ代表に何が起こったのだろう?
「悪くなかった」立ち上がり後に露呈した“悪癖”
……
残り:2,878文字/全文:3,705文字
この記事の続きはプレミア会員
のみお読みいただけます
プレミア会員3つの特典
-
会員限定のオリジナル
記事が読み放題! -
電子版バックナンバーが
読み放題! -
雑誌最新号を毎月
ご自宅にお届け
日本代表欧州遠征2023徹底分析
- 日本代表の新スタッフ、元セビージャ・アナリストの若林大智に期待すること
- 元チーム・ケルンの日本人アナリスト3人と振り返る“ドーハの奇跡”。「予想外」で突かれた個人分析とチーム分析の穴
- ドイツが施した対策を、真っ向勝負した日本はいかに打ち破ったのか? ドイツ対日本戦術分析
- 森保監督のチームが「対応力」で上回った価値。ドイツ対日本インサイドレポート
- 「あらゆる点において、日本の選手たちが上回っていた」完敗ドイツの視点から見た日本戦
- 4ゴールを奪うも、終始拭えなかったビルドアップの不安定感の要因とは。日本対トルコ戦術分析
- 「お帰りなさい。ヘンキーの伊東純也」古巣凱旋で成長を証明。トルコ対日本インサイドレポート

Profile
木崎 伸也
1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。