FEATURE

木を隠すなら森の中、名言を隠すなら迷言の中?イブラヒモビッチらのAI捏造発言に騙されない唯一の方法

2026.07.10

社会から文化まで!北中米W杯スペシャルコラム#5

W杯の魅力は、ピッチ上の勝敗だけでは語り尽くせない。サッカーを通して見えてくるのは、それぞれの国が抱える文化や社会、歴史、そしてときに政治との関係性だ。世界中の価値観が交差する北中米W杯を、多彩なテーマとともに掘り下げる。“もう一つのワールドカップ”が、そこにある。

第5回では、XのGrokによる自動翻訳優先表示も相まって蔓延っている、ズラタン・イブラヒモビッチら名選手・名監督のAI捏造発言に騙されない方法を考える。

 みなさん、W杯楽しいですね!!いやー、楽しいとは聞いていましたがここまで楽しいとは。来年のW杯もすごく楽しみです。

 さて、その北中米W杯、みなさんもスマホ、Xを片手に観戦していると思いますが、タイムライン上はサッカートピックであふれ返っていることでしょう。32強で散った日本代表に関する喧々諤々の議論、ゴールシーンの分析、早期敗退国の監督(主にナーゲルスマンやクーマン)への罵倒、コーチライセンス問題などなど、毎日手を変え品を変えひっきりなしに流れてきます。そのすべてを消化することは難しく、まさに情報の氾濫と言えるでしょう。

 その中でも、ひと際目を惹く男が1人いることを、みなさんご存じでしょう。そう、イブラヒモビッチです。

 コメンテーターとして今大会に参加しているイブラヒモビッチですが、その様々なコメントがSNSで紹介されています。「今夜のメキシコはまるで軍隊のようだった」「俺はいつも言ってる、サッカーはコンタクトのスポーツだ」「もう二度とメッシのような選手は現れることはないと思う。彼は特別で自然そのもので、まるでサッカーが彼のために作られたようだ」「日本は真のサムライだ、日本で食べた焼き鳥のように彼らはジューシーで柔軟だった」などなど、顔写真とともに彼らしい言葉が流れてきます。

 しかし、ちょっと待ってください、本当にイブラヒモビッチはそんなこと言ってるんでしょうか?

 この記事でも疑問視されているように、傍若無人で歯に衣着せぬイブラヒモビッチがいかにも言いそうなことですが、真偽は定かではないようです。おそらく、インプレッション稼ぎのためにでたらめを流しているのでしょう。できるだけ多くの反響を得てお金を稼ぎたい!という欲望に基づいた広告塔に、イブラヒモビッチが選ばれたのです。あの唯我独尊の佇まい、その割にはユーモアがあって、「ムカつくけどイブラならしょうがないか」と許されるような雰囲気。何を言わせても様になるし、直感で「イブラはそんなこと言わない」と思っても、いざ文字にすると「やっぱ言うかもなあ」と簡単に陥落してしまいそうになります。インプレ稼ぎのインチキ発言を言わせるイタコとして、イブラヒモビッチのキャラクターは最強なのです。

……

残り:2,388文字/全文:3,549文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

Profile

tkq

世界ロングボール学会(WLBS)日本支部正会員。Jリーグの始まりとともに自我が芽生え、カントナキックとファウラーの薬物吸引パフォーマンスに魅了されて海外サッカーも見るように。たぶん前世でものすごく悪いことをしたので(魔女を10人くらい教会に引き渡したとか)、応援しているチームがJ2に約10年間幽閉されています。一晩パブで飲み明かした酔っ払いが明け方にレシートの裏に書いた詩のような文章を生み出そうと日々努力中です。【note】https://note.mu/tkq

RANKING