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男子と女子でアドバイスの仕方が変わる?イタリア女子サッカー監督の経験談

2021.04.18

書籍『サッカーココロとカラダ研究所』本文特別公開#5

試合の内容、結果に大きな影響を及ぼし得るにもかかわらず、「テクニック」や「戦術」と比べて理解するために必要な視点や知識すらまだ十分に整理されていないサッカーの「フィジカル」と「メンタル」。そんな「未知の領域」について、選手、コーチ、監督という異なる立場からプロサッカーの現場を当事者として経験してきたイタリア人エキスパートのロベルト・ロッシと、 イタリア在住ジャーナリストの片野道郎が様々な角度から掘り下げ、全体像に迫ったのが『サッカー“ココロとカラダ”研究所 イタリア人コーチと解き明かす、メンタル&フィジカル「11の謎」』だ。今回はその中から、特に読んでもらいたい5つのエピソードを特別に公開。カルチョの理論と現場を深く知る2人の「メンタル&フィジカル」の謎を解く旅に、ぜひご同行願いたい。

※選手の年齢・所属等の情報はすべて発行時点のもの

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女子サッカー指導に飛び込んで

片野「ロベルトは、現役引退後にザッケローニのスタッフとしてスカウティングとゲーム分析を担当し、その後監督として独り立ちして3部から5部までのクラブを率い、さらにセリエAクラブのU-19も指揮してきました。そして今年(2019年)1月からは、地元チェゼーナの女子チーム(セリエB)を率いています。この章では、女子チーム指導の男子との違いなどについて話を聞けたらと思います。男子サッカーから女子サッカーへの転身というのは監督キャリアの上でも大きな節目になると思うのですが、そこに至った経緯を教えてください」

ロッシ「1年ちょっと前までは特に接点はなかったんだ。17-18シーズンからイタリアでもスカイ・イタリアがセリエAの放映を始めるなど、2019年のワールドカップを見据えて積極的に女子サッカーをプロモートするようになり、それで私もTVで試合を観たりして興味を持つようになった。男子とは違って、負けないためではなく勝つために戦うメンタリティ、狡猾なところが一切ないフェアな姿勢に好感を感じたよ。その後今年に入って、地元のチェゼーナ女子からコンタクトがあって、スタジアムで直接試合を観ることになった。コッパ・イタリアのユベントス戦だったんだけれど、観客も何百人か集まって、男子のセリエC(3部)やセリエD(4部・セミプロ)と変わらない賑わいがあるのは予想外だった。その流れで監督に途中就任してほしいというオファーがあり、新しいことにチャレンジしてみようという気持ちもあって受諾したというわけだ」

片野「実際に女子サッカーの世界の中に入ってみて、率直な感想はどうですか?」……

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片野 道郎/ロベルト・ロッシ

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