現代ウイング考察
クバラツヘリア、サカ、そして三笘薫が象徴する「1対1 突破プラスアルファ」の力
[特集]
ポジショナルプレーを完結させるラストピース
現代ウイング考察
ポジショナルプレーの浸透によって5レーンを埋める攻撃がスタンダードとなったが、守備側も5バックでスペースを封鎖する守り方で対抗するようになった。SBとCBの間、ハーフスペースやポケットを空けないことも徹底され、守備ブロック形成が完了した相手を崩すことは厳しくなっているのが現状だ。
攻略法は2つある。1つは守備ブロックが完成する前に攻めてしまうこと。縦への速さがより求められるようになったのは、守備側の進化と無関係ではない。もう1つは質的優位での崩し、つまりは1対1で勝つことだ。そのキーマンになるのは、サイドからの切り崩しを担うウイングである。
ビニシウス、サラー、クバラツヘリア、サカ、そして三笘薫……。今特集では、復権しつつある現代ウイングについて考察してみたい。
[対談]レナート・バルディ×片野道郎
モダンウイングに求められる
「1対1突破プラスアルファ」の力
マルチタスク化が進む
ウイングに必須な攻守のスキル6選
マシューズとザガロの血脈
ベッカムから「例外」メッシまで
時代ごとに激変するウイング興亡史
ENGLAND|PREMIER LEAGUE
逆足全盛、得点への直接関与が第一任務に
動きは対角線でも、より“直線的”な新種たち
○アーセナル
「大外の優位+得点」の難関タスクを担い
サイドチェンジで互いを生かす二枚看板
○マンチェスター・シティ
“インサイドFW化”を経て再び大外へ
逆足の威力が発揮しやすい場所で勝負
○マンチェスター・ユナイテッド
大外の優位性を担保し得点力も生かせる
ラッシュフォードのハーフスペース配置
○トッテナム
ウイングバックの「高さ調節」が生命線
外回りの前進に窮する現状に解決策は?
○リバプール
ウイングストライカー型へ想定外の回帰
幅取り役が曖昧な右サイド設計に難あり
○チェルシー
両ウイングバックも実像はアタッカー
半年で打ち切られた“ポッターボール”
○ニューカッスル
ドリブルは健在も“怠慢プレー”にコーチ陣が喝!
孤独の天才サン・マクシマンに訪れた試練
○ブライトン
「ドリブラー」≠「ただのボールプレーヤー」
三笘の進化に表れるデ・ゼルビの動的なスペース活用術
l’Ultimo Uomo
三笘は新種のゴールを「発明」した
エコロジカル・アプローチ視点で考える
ドリブラー育成法
GERMANY|BUNDESLIGA
ハイブリッドなタスクを担う
「ジョーカー」たちの居場所
○バイエルン
「伝統×現代」の折衷システムで
「最小限の幅」から「最適な幅」へ
○ドルトムント
スピードの左、イマジネーションの右
アデイェミの突破が左サイドを切り裂く
○RBライプツィヒ
“ゼロウイングシステム”の中で
“孤立状態のSB”がサイドを使う
○フライブルク
タイプの異なる両ウイングが
ともに縦に仕掛けないチーム設計
○フランクフルト
コスティッチ→ゲッツェで再構築するも
現陣容は帯に短し襷に長し
○ブレーメン
狙いは強力2トップへのボール供給
左右で異なるサイドエリアの担い手
SPAIN|LIGA ESPAÑOLA
絶滅したわけではないが、起用は1枚が限界
ドリブラーをめぐる3つの論点
○バルセロナ
“慣れ”を避けるため開放区は限定的
右WGの役者に漂うメッシとリバウドの香り
○レアル・マドリー
歪な左右非対称のメカニズムと高い流動性
“ビニシウス仕様”のオーダーメイドは完了
○アトレティコ・マドリー
ドリブルでの切り崩しはカラスコ一択
「左の槍」を支える攻守バランスを構築
○ソシエダ
引いた相手の“こじ開け役”を担う久保建英
だが、特別扱いのドリブラー起用は1人だけ
○アスレティック・ビルバオ
左右で持ち味が異なる快速コンビ、
ウィリアムス兄弟の「剛」と「柔」
○ラジョ・バジェカーノ
両ウイングがロングボールの受け手
激しいプレスを支える戦術設計のキーマン
ITALY|SERIE A
ドリブラーの少なさは「カテナッチョ」の文化?
だが、上位陣には強力なサイドアタッカーがいる
○ナポリ
スパレッティが手にしたWGの豊富な選択肢
左右の起用法にみるゲームマネージメント術
l’Ultimo Uomo
なぜクバラツヘリアをマークするのは不可能なのか
○ミラン
得点者は全員ウイングプレーヤー!
大勝ナポリ戦で再発見したレオンの適性
○ユベントス
WG不在の[3-5-2]でドリブル数は低迷も…
大外の専門家と違いを生む個が量と質を担保
○ラツィオ
サッリが逆足WGを「前三角形」にプラス
チャンスメイカーそろい踏みの[4-3-3]
○ローマ
ウイング然としたスピナッツォーラ、
左右対応可能なザレフスキ…
ドリブラーぞろいのWB陣
FRANCE|LIGUE 1
「自分はもうウインガーを長年やってきてるんで、別に…」
新生スタッド・ランスの牽引車、伊東純也の貢献と自負
○パリ・サンジェルマン
MNM共生を追い求めた[3-4-1-2]と
ハキミたちの献身、17歳の新オプション
NETHERLANDS|EREDIVISIE
「ウイング王国」オランダの現状は?
アヤックス産が減少、PSVが中心地へ
BRAZIL|BRASILEIRÃO SÉRIE A
ブラジル流ウイング育成8カ条
王国が名手を輩出し続ける理由
INTERVIEW
アレッサンドロ・フォルミサーノ(ペルージャU‒19監督)
エコロジカル・アプローチ実践編:
フォルミサーノが語る「モダンサッカー3.0」
REGULARS
戦術リストランテ ●西部謙司
– 33年ぶりのスクデット目前! ナポリはなぜ、強いのか?
ドイツサッカー誌的フィールド ●ダニエル・テーベライト
– “サッカーを売る”ことに対し国内で白熱する議論
ディープスロート 内部情報が語るレアル・マドリー ●ディエゴ・トーレス
– ベンゼマとネグレイラ事件という2つのミステリー
TACTICAL FRONTIER 進化型サッカー評論 ●結城康平
– アーセナルの躍進を支える「ドリフティング・フォース・ナイン」とは?
CALCIO おもてうら ●片野道郎
– 「カルチョのスカラ座」サンシーロの最期。ミランとインテルは別プロジェクトへ
サッカーを笑え ●木村浩嗣
– 公正さを揺るがす史上最大のスキャンダル、ネグレイラ事件とは?
連載コラム
ENGLAND ●山中 忍/ FRANCE ●小川由紀子
NETHERLANDS ●中田 徹/ RUSSIA ●篠崎直也
BRAZIL ●沢田啓明 /ARGENTINA ● Chizuru de Garcia