17位アルメリア相手に0-5と快勝したレアル・マドリー。試合前は「ケディラ不在問題」が危惧されたが、この試合に限って言えばその心配もどこ吹く風となった。
代表戦で右膝前十字靭帯を断裂し今季絶望となったドイツ代表MFに代わり、バランサー役を務めたのはイジャラメンディだった。ケディラは[4-3-3]の攻撃的MFの位置に入っていたが、この試合では[4-2-3-1]を採用。イジャラメンディはシャビ・アロンソとともに中盤の底にポジションを取り攻守の舵を取った。
開始直後の3分、右サイドのイスコからのクロスにロナウドが左足で合わせ、幸先良く先制。しかし、その後は前に出たところをアルメリア攻撃陣に狙われ、なかなかリズムに乗れない。ロナウドが持ち味の突破力を発揮しゴールに迫れば、ベンゼマ、ベイルもこれに追随するのだが、相手のカウンターを警戒してか攻撃に迫力を欠き、押し切るには至らなかった。
後半に入るとイジャラメンディはより守備に比重を傾け、攻撃面はイスコが担うことでようやくバランスが取れ始める。51分にロナウドが負傷しベンチへと下がってしまったが、同点ゴールを狙う相手に対して切れ味鋭い攻撃を披露。61分、ロナウドに代わりピッチに立ったヘセのパスをペナルティアーク付近で受けたベンゼマが、振り向きざまの鋭いシュートで追加点を奪うと、71分にはアルメリアの守備のミスに乗じてベイルが加点。さらにその4分後、イスコが右足でゴール左隅に決めれば、80分には途中出場のモラタが、こちらも途中投入カゼミロの縦パス1本でDFラインの裏を取って綺麗なループシュートで駄目を押した。
ケディラ抜きでも快勝を収めたRマドリー。前半はシステム変更の影響もあって攻守のバランスを見出すのに苦労したが、後半にイスコとイジャラメンディの役割分担がはっきりしてからはケディラ不在を感じさせない展開だった。[4-2-3-1]を継続するのか、またこの日ピッチに立たなかったモドリッチやディ・マリアをどう組み込んでいくのか、指揮官の舵取りに今後も注目していきたい。
(文/一色伸裕)
<監督・選手コメント>
カルロ・アンチェロッティ(レアル・マドリー監督)
「イジャラ(メンディ)もイスコもしっかりと練習をしてきている。イジャラはシャビ(アロンソ)といいコンビを見せてくれた。攻守のバランスは申し分なかった。イスコは攻撃面で良さを発揮することができたが、それは彼の持ち味を引き出すために少し戦術を変えたから。よくやってくれたね。クリスティアーノ(ロナウド)は大きなケガではない。太腿に違和感を訴え、少し筋肉を痛めただけ。すぐに回復するだろう」
アルバロ・モラタ(レアル・マドリー)
「僕自身の調子はいい。監督、スタッフの信頼を得られて試合に出られることには感謝している。みんながアドバイスをくれて、そこからいろいろなことを学ぼうとしている。チームのコンセプトも理解できてきているし、僕も、チームも少しずつ良くなってきている。このチームで、このユニホームを着てプレーできることは幸せだよ。クリスティアーノ(ロナウド)は疲れが溜まってきているのだと思う。時には休むことも必要だよ」