前節ドルトムントに勝利し勢いに乗るかに思えたヘルタ・ベルリンだったが、最大3点のリードを奪いながら終盤の2失点で勝ち点3を逃す格好に。一方、5試合連続複数得点と攻撃面は充実しているフランクフルトだが、この日も守備の甘さが出てしまう結果となった。
先にペースをつかんだのはホームのフランクフルト。テンポ良くパスを繋いでゴール前へと侵入し、序盤からチャンスを作り出していく。ヘルタの守備陣はいま一つ集中力に欠け、対応が後手に回っていた。
ところが21分、ハーフウェイライン付近からロニーが放ったFKに、ゴール正面でフリーとなったブルックスが合わせてヘルタが先制に成功する。ゴールから距離があり油断していたのか、マークに付いていたルスがいとも簡単にブルックスを見失ってしまった。良い形でゲームに入ったフランクフルトからすれば、何とももったいない失点だった。
すると、この1本のセットプレーが試合の流れを変える。33分にはロニーのCKにニアでベン・ハティラが合わせて追加点。さらにその4分後には、前線でボールを奪うとベン・ハティラのクロスをシーバーが押し込んで、ヘルタが一気に3点差とした。
リードを奪ったことはプレーにも好影響をもたらし、ヘルタの選手たちは集中力を取り戻してよりタイトな守備を見せるようになった。一方のフランクフルトには焦りから攻め急ぐシーンが目立つようになり、なかなか攻撃の形を作れなくなってしまう。
だが、アイクナーの得点で前半のうちに1点を返し望みを繋いだフランクフルトは、後半開始から攻勢に出る。そして58分、敵陣内でこぼれ球を拾った長谷部が乾へといったん預けて自らもエリア左に侵入。乾からのリターンを受けると右足でクロスを送り、セフェロビッチの得点をアシストした。
同点弾を狙うフランクフルトだが、前がかりになり背後にできたスペースを突かれてあわやという場面を許してしまう。80分には、再びFKにニーマイアーが合わせたヘルタが4点目を奪い、再びリードを2点に広げた。
■2分間で生まれた2ゴール
これで決着がついたかに思えたが、終盤にドラマが待っていた。ロスタイム突入直前にペナルティエリア左からの乾のクロスを最後はマイアーが押し込み1点差に迫ったフランクフルトは、その直後にFKから再びマイアーが決めて土壇場で同点に追いついてみせた。
こういった試合で勝ち切れないのが今季のヘルタ。微妙な判定で与えたFKから同点弾を許してしまうなど、流れの悪さを感じさせる一戦だった。逆にフランクフルトとしてはドローに持ち込んだ形だが、不用意な失点が多かったことを思えば彼らにとってももったいない勝ち点1だったと言えるだろう。
(文/山口裕平)
<コメント>
長谷部誠(フランクフルト)
「(失点は)セットプレー3本ともう1本は自分のパスミスからやられてという形で、本当につまらない失点だった。そう考えると今日は集中力を欠いていたのかなと思います。1本のセットプレーからやられて、そこからなかなか相手もしっかり引いてきて自分たちもそこにハマってしまったかなという感じはあります」
細貝萌(ヘルタ・ベルリン)
「やっぱりチームがなかなか(状態が)良くないので、内容的にもすごく厳しかったですし、個人的にも厳しかったと思います。相手からすれば、あれだけボールを保持したのにもかかわらずセットプレーでやられたと思っていると思うし、自分らはいい形で最初に点を取ったにもかかわらず、結局追いつかれてしまったので……。良くない時間がとにかく長かった感じはあります」