開幕前には誰も予想しなかったような状況で迎えることになったバイエルン対ドルトムントの一戦。試合は開始直後から、中盤で激しいボールの奪い合いが展開された。ピッチ中央に両軍の選手が密集し、リスクを冒したくない両者がシンプルなプレーに徹したことで、ボールの保有権が目まぐるしく入れ替わる。
しかし何かの拍子で前線に良い形でボールが入れば、両者ともに相手最終ラインの後方に広がるスペースを突き好機を演出していく。先にチャンスを得たのはバイエルン。6分、右サイドからラームとのワンツーで切り込んだロッベンが左足でシュートを放つと、バイデンフェラーが弾いたボールはクロスバーを叩き枠外へとそれていった。3分後にはドルトムントも、パス交換からムヒタリャンがドリブルで持ち込み右足を振り抜いたが、シュートは右ポストを叩きゴールならず。
前線のタレントは十分にそろっている両チームだが、より精度の高いコンビプレーを見せるバイエルンがその後はチャンスの数で上回っていく。前半にバイエルンが放ったシュートはドルトムントを7本上回る12本。ゴールこそならなかったものの、ゴールを脅かし続けていたのは王者の方だった。
ところが、先制点はドルトムントの方に生まれる。31分、バイデンフェラーからのスローを受けたオーバメヤンが香川とのワンツーで右サイドを抜け出しクロスを送ると、ファーサイドに走り込んだロイスが頭で合わせた。バイデンフェラーがボールをキャッチしてからネットを揺らすまで、わずかに15秒。後方から走り込むロイスへのケアが遅れたベナティアにカバーに戻る時間を与えない、見事な速攻だった。
後半に入るとバイエルンがさらに前への圧力を強め、わずかなチャンスを除いてドルトムントはほとんど前線へボールを運ぶことができなくなってしまう。もはや同点ゴールは時間の問題に思えたが、なかなか追いつけないバイエルンにも徐々に焦りの色が見え始める。