中盤のパスワークを軸とするチームの対決。アーセナルのベンゲル監督は普段の[4-2-3-1]ではなくバイエルンと同じ[4-1-4-1]にして、守備のバランスを取りながら両サイドの飛び出しを生かして得点を狙いにいった。アルテタを出場停止で欠く中でフラミニが1ボランチ気味、ウィルシャーとカソルラがインサイドハーフ、エジルを左サイドに配置した。
バイエルンは、並び自体はいつもの[4-1-4-1]だったものの、アーセナルの2列目への対応を意識してかアンカーには守備能力の高いハビ・マルティネスを据え、主将のラームは本職である右SBを担当。そのラームは立ち上がりから果敢な飛び出しを見せ、右サイドMFのゲッツェと連係して鋭い攻撃を繰り出す。
中盤のトライアングルがけん制し合う中でサイドが攻防の中心となったが、より危険なシーンを作ったのはアーセナルの方だ。中盤のトライアングルを形成する3人がSBや中に絞って来るサイドMFに一度預けて、再び受けたボールを裏を突く逆サイドのMFに送る、といったワイドな攻撃ができていた。
8分にバイエルンのプレスをかいくぐったウィルシャーのスルーパスにエジルが抜け出し、イェロメ・ボアテンクのファウルを誘ってPKを獲得。しかし、自らペナルティスポットに立ったエジルの真ん中を狙ったキックはバイエルンの守護神ノイアーに弾かれた。20分過ぎには右のチェンバレンを起点に崩したところから、タイミング良く飛び出したフラミニがミドルシュートを放つ。さらに前線に張るサノゴのポストプレーから、飛び出したチェンバレンが1対1になりかけたところでノイアーにクリアされる場面もあった。
ボール支配率はこの時点でバイエルンが上回っていた。しかし、アーセナルは中盤でうまくタメを作りながら手数をかけずに2列目からの飛び出しを生かすことで、相手の厳しいプレッシングの逆を取る形でチャンスを作ることができていた。一方で、攻め込まれてもDFラインとアンカーのフラミニがしっかり中央を埋める形を維持しており、バイエルンはやや強引なフィニッシュに持ち込む傾向が強まっていた。