CL再開を控え、この上位対決を合図にシーズンの一つの山場を迎える2位レバークーゼンと4位シャルケ。だが、この試合を前にした両チームの状態は対照的だった。一時の不調は脱したかに思われたレバークーゼンは、ミッドウィークに行われたドイツカップ準々決勝で2部カイザースラウテルン相手に敗退。一方、シャルケは後半戦開始からここまで無傷の3連勝と上り調子にあった。
試合はミスから動く。28分、自陣でボールを回していたレバークーゼンのラース・ベンダーが一度ボールを下げようとすると、前線からチェックに来ていたゴレツカの伸ばした足に当たり、ボールがこぼれる。これをゴレツカが先に拾うとカバーに来たDFをかわし、GKとの1対1も冷静なチップキックで頭上を抜いてシャルケが先制。
ボールを奪われてからゴールまではわずか6秒と3タッチ。絶好の機会をシャルケが見逃すはずもなく、レバークーゼンとしては悔いが残る失点となってしまった。拮抗した展開の中で代表レベルの選手が犯してはならないミスを犯すあたり、いまだチーム内に流れる悪い流れをぬぐい切れていないのだろう。
しかし、後半に入るとレバークーゼンが圧力を強め、半ば強引な形で相手ゴールに迫っていく。66分にCKからボエニシュが放ったヘッドはゴール直前でフェリペ・サンターナにクリアされたが、直後のCKから今度はF.サンターナの足に当たったボールがシャルケのゴールに吸い込まれて同点に。悪い流れを何とか断ち切りたいレバークーゼンの選手の気迫がボールに乗り移ったかのような得点だった。その後もレバークーゼンの攻勢は続き、キースリンクのダイレクトパスに抜け出したカストロがGKとの1対1を迎えるが、これを決めることができない。
こうしたビッグチャンスを決め切れないと得てして流れが変わってしまうもので、直後のプレーでフンテラールが倒されシャルケがFKを獲得。ファルファンの右足から放たれたボールを、フンテラールが頭で軌道を変えてネットを揺らした。後半はほとんどチャンスを作れていなかったシャルケがワンチャンスで勝ち越しに成功。ゴール前に味方も相手も思うように身動きできないほど選手を密集させ、オランダ代表FWの高さをより生かせる状況を作り出したシャルケの狙いが見事にハマった。
レバークーゼンは最後までシャルケゴールに迫り、ロスタイムにはトプラクのヘディングがポストを叩くも結局ゴールは割れず。シャルケが何とか逃げ切った。これでシャルケは後半戦4連勝。2位レバークーゼンに勝ち点差3と、その背中を射程圏に捉えた。
(文/山口裕平)
<監督コメント>
サミ・ヒーピア(レバークーゼン)
「失点するまでは我われの方が優れていたし、多くのチャンスを作れていた。しかし、ナーバスになり過ぎてしまい、うまく戦うことができなかった。後半は我われの方が良いチームだったが、チャンスを決めることができなかった。負けはしたが、ドイツカップで敗退した後のリアクションとしては満足している」
イェンス・ケラー(シャルケ)
「何より、我われは良い形で試合に入ることができた。序盤はレバークーゼンの方が良かったが、本当に少しだけの幸運とすばらしいGKがいたことで失点を喫することはなかった。先制した後はハーフタイムまでうまくやれたね。後半、レバークーゼンが圧力を強めてくることは明らかだった。それに対しチームが見せた戦いぶりには敬意を示さなければならない」