先週、プレミア前節のマンチェスター・シティ対チェルシー(0-1)を視察したロジャーズ監督は、あらためて「優勝争いについて話すのはまだ早いと思っている。あくまで目標はトップ4」と強調していたが、この日のリバプールの戦いぶりを見れば、89-90シーズン以来、24年ぶりのリーグ制覇も非現実的な目標ではないように思えてくる。
ツボにはまった時のリバプールは強い。首位アーセナルをアンフィードに迎えての5-1大勝には、それくらいのインパクトがあった。
開始1分にも満たないうちに、ジェラードのFKにシュクルテルが飛び込んで先制すると、その後も攻勢を続け20分までに4得点。シュクルテルの2ゴールに加え、スターリング、スタリッジが続き、試合を一気に決めてしまった。さらに付け加えれば、その間にスタリッジが一度GKとの1対1の場面を逃し、スアレスのミドルがポストに嫌われるなど、チャンスはその倍近くあった。
52分には、スターリングの自身2ゴール目でさらに1点を追加したが、後半はもはやお互いにとって不要だったとも言える。
“SAS”ことスアレスとスタリッジのコンビネーションの良さは当然のこと、そこにコウチーニョのテクニック、ヘンダーソンの運動量、スターリングのスピードらが絡むリバプールの攻撃は、流れるように美しく、中盤の底に位置する絶対的な柱ジェラードも、今では脇役の一人に過ぎないほど迫力を増しつつある。
もちろん、1月の移籍市場では補強ができず、選手層は厚いとは言えない。それでもメンバーさえそろえば、現在のチームには何かをやり遂げても不思議ではない勢いを感じる。
一方のアーセナルは、出場停止と負傷で中盤にフラミニとラムジーを欠いた中、立ち上がり早々の失点が影響してか、混乱ぶりが顕著だった。特に、ここまで大車輪の活躍を見せてきたメルテザッカーとコシエルニーのCBコンビは、スピード不足を露呈した他、冷静さを欠き、大量失点の起因となったとも言える。
攻めても、終盤にPKで1点は返したものの、司令塔のエジルには疲労感が目立ち、前節のクリスタル・パレス戦で2ゴールを挙げたチェンバレンもミスが目立った。61分には交代カードを同時に3枚切ったものの、得点状況を考えれば、遅過ぎる動きだったのは否めない。
この結果、9試合ぶりの敗戦となったアーセナルは、勝ち点55でトップから陥落。勝ったリバプールは、首位チェルシーと6ポイント差の勝ち点50で4位に付けている。
(文/栗原正夫)
<監督コメント>
ブレンダン・ロジャーズ(リバプール)
「最高の試合だった。選手たちはハングリーな気持ちを見せてくれた。戦術的にもはまり、プレスがしっかりかかれば、うまくいくと感じていた。(優勝争いに向けては)できるだけ高い位置でシーズンを終えるために、我われは集中していくだけだ」
アルセーヌ・ベンゲル(アーセナル)
「守備面で非常にお粗末だった。リバプールはそこをうまく突いた。私を含め、十分なパフォーマンスができなかった。様々な課題が浮き彫りになったが、問題は今後それにどう対処するかだ」