少しの幸運があったのは事実だが、それでもマンチェスター・シティの強さが際立った試合だった。
立ち上がりから鋭い出足を見せたシティはアグエロ、シルバを中心に攻撃を組み立てると、15分にシルバの縦パスをアグエロがDFとGKの間で軽く合わせ、難なく先制。前半こそリードは1点だったものの、後半にはさらに4点を追加し、終わってみれば1-5とシャーウッド新監督就任後6戦5勝と波に乗っていたトッテナムを寄せ付けなかった。
試合を大きく左右したのは、49分にトッテナムのローズがジェコを倒したとしてシティにPKが与えられた場面。ローズのタックルは背後からではあったが、先にボールへ触っていただけにトッテナムにとっては不運と言えた。ローズはレッドカードで一発退場。このPKをトゥーレ・ヤヤが決めてシティが点差を2点とし、試合の行方はほぼ決まったようなものだった。
好調のシティはリーグ8連勝で、前日に引き分けたアーセナルをかわし首位に浮上したが、唯一の不安は前半終了間際にアグエロがハムストリングを痛めてベンチへ退いたことか。2月3日には3位チェルシーとの大事な一戦を控えているだけに、状態が心配される。一方で、そのアグエロに代わって途中出場した(今冬の移籍の噂もあった)ヨベティッチが無難なプレーで、プレミア初ゴールをマークしたことは、リーグ後半戦に向けての明るい話題と言えるだろう。
片やトッテナムは、11月にも6-0でシティに屈していただけに、2戦続けての大敗は、あとに引きずりかねないかもしれない。シャーウッド体制となって6戦5発とゴールを量産していたアデバイヨルも、前線で孤立する場面が目立ち、激しいシティの守備の前にほとんど仕事をさせてもらえず。唯一、ゴールの可能性を感じさせたのはエリクセンのセットプレーだったが、前半にはFKをドーソンが押し込むもオフサイドで取り消され、後半にCKから途中出場のカプエのゴールで1点を返すのがやっとだった。
(文/栗原正夫)
<監督コメント>
ティム・シャーウッド(トッテナム)
「我われが対戦したのはチャンピオンだということに疑いはない。(ローズがPKを取られ退場したシーンについて)ダニーは明らかにボールに行っていた。異議を申し立てると思う。あれで流れが変わった。ただ、退場者が出る前もシティは素晴らしかった」
マヌエル・ペジェグリーニ(マンチェスター・シティ)
「アグエロはふくらはぎのケガから戻ってきたところだったのに……。ただ彼がいなくても、我われにはネグレドとジェコ、今はヨベティッチもいる。今日の試合は、おそらくアウェイでの今季ベストパフォーマンスだったと思う」