一体誰がバイエルンを止めるのか?――注目の上位対決となったリーグ再開初戦はバイエルンがボルシアMGに完封勝利。これでバイエルンは開幕からの無敗を維持するとともに、昨季から続くリーグ無敗記録を42に伸ばした。
5カ月前、バイエルンがボルシアMGとの開幕戦で見せた危なっかしさはもはや見る影もない。これでバイエルンは17試合目にして10度目のクリーンシート。総失点はいまだ8と、1試合当たりの失点数は0.5を切る驚異的な守備力を発揮している。
試合終盤は無理をする必要がなくなったことで最終的には61%にまで下がったものの、前半途中の段階では70%のボール支配率を記録。これだけボールを持っていれば相手は守備に労力を割かざるを得ず、ボールを奪っても良い状態で攻撃に移ることはできない。バイエルンの選手もボールを失うとすぐに攻守を切り替え、相手が顔を上げて味方を探す時間を与えずに2,3人で囲んでボールを奪い返してしまう。
ボルシアMGの選手たちが囲まれる前に前線へボールを送ることができたとしても、FWへのくさびのパスはCBがカットし、背後のスペースはGKノイアーが広い範囲をカバーしているためなかなか攻撃の糸口を見つけられない。バイエルンの守備を支えているのは素早い攻守の切り替えと安定した最終ライン。そして、その根底にはあるのは高いボール支配率なのだ。
戦前の予想通り、試合は序盤からボールを支配するバイエルンに対してボルシアMGがブロックを築いて迎え撃つことになった。ボルシアMGの組織的な守備にスキは見当たらず、バイエルンもブロックの外側から慎重にチャンスをうかがうことになり、試合は均衡した展開になるかと思われた。
しかし、6分にはミュラーからのパスが短くなり相手CBが寄せてきたところを、“偽9番”として起用されたゲッツェが1タッチでかわしてシュート。これは惜しくも枠を逸れたものの、ボルシアMG守備陣に一瞬で局面を打開されてしまう恐怖をあらためて思い出させた。そして、その恐れはすぐに現実となる。7分、オフサイドぎりぎりで右サイドに抜け出したミュラーの折り返しにゲッツェが合わせてバイエルンが先制。後半も早い時間にゴール前の混戦からPKを獲得すると、ミュラーが決めて追加点を奪った。
ボルシアMGも前半終盤にはクルーゼ、60分過ぎにはヘアマンのシュートがポストを叩くなど相手ゴールを脅かす場面があったものの、最後までネットを揺らすことはできず今季ホーム初黒星を喫することとなった。
(文/山口裕平)
<監督コメント>
ジョセップ・グアルディオラ(バイエルン)
「我われは(3-0で敗れた練習試合)ザルツブルク戦での敗戦から教訓を引き出した。それゆえ素晴らしい相手に良い戦いができた。ここで勝利することがどれほど難しいかは歴史が証明している。我われは先週の失敗から学び、大きな進歩を見せられた。試合をコントロールしたチームのパフォーマンスは喜ばしいものだ。水曜日にはさらに3ポイントリードすることができる重要な機会がある」
ルシアン・ファブレ(ボルシアMG)
「バイエルンの勝利は妥当なもので、彼らの技術は素晴らしかった。我われの立ち上がりは良くなく、7分には不必要な失点を喫してしまった。バイエルンは単純に素晴らしかったし、とりわけ中盤では数的優位を維持していたから、失点は我われにとって厳しいものだった。しかし、その後は良くなった。後半にはPKを与えてしまったが、それからは互いにカウンターを仕掛け合い、我われにはポストを叩いた場面もあった。今日は最高ではなかったが、最悪の出来でもなかった。確かなのは我われが懸命に戦ったことだ」