準々決勝の組み合わせ抽選後は楽観ムードすら漂っていたバイエルンだが、やはりイングランドの名門は手ごわかった。1-1とアウェイゴールを奪って優位な形で折り返しはしたが、第2レグを前にミュンヘンの空気はピリピリと張り詰めている。それもそのはず、大幅にメンバーを入れ替えて臨んだ週末のリーグ戦で敗れて国内無敗記録が53で止まり、公式戦3試合勝ちなしとチームは停滞気味。一方、マンチェスター・ユナイテッドは週末のリーグ戦を快勝しており。勢いでは勝る。
それでもバイエルン優位は揺るがないだろう。ケガ人が多く、シュバインシュタイガーとハビ・マルティネスは出場停止となるが、ボランチはラームとクロースが、CBはイェロメ・ボアテングとダンテが出場予定でベストメンバーと言って良い。
アウェイで70%のボール支配率を記録したバイエルンのポゼッションは、ホームでより高まることが予想される。ユナイテッドの選手は自陣深くへの撤退を余儀なくされるだろう。とはいえ、アウェイゴールが怖いバイエルンも決して無理はしないはず。早い時間帯に失点して撃ち合うような展開はアウェイゴールルールを考えると避けたい。バイエルンとしてはボールを支配しながら、まずは様子を見ながら試合に入るだろう。第1レグ同様、狭いエリアで効果的なミュラーをCFに起用し、高さのあるマンジュキッチはもしもの時のためのジョーカーとして取っておきたい。
勝ち抜けには少なくとも1点が必要なユナイテッドだが、自陣に押し込まれてカウンターを狙いという展開になりそう。ルーニーが出場できる見込みだというのはポジティブな要素だ。
バイエルンが注意したいのはカウンターとセットプレー。第1レグの前半にはカウンターからウェルベックが決定機を迎え、後半に入りCKからビディッチに先制点を許してしまった。バイエルンとしてはできるだけボールを走らせて相手を消耗させ、カウンターもファウル覚悟で早めに潰してしまいたい。ゴール前での不用意なファウルも禁物だ。
バイエルンが力で押し切るのか、あるいはユナイテッドが名門の意地を見せるのか? ここ数試合の悪い流れを断ち切るためにも、バイエルンとしてはとにかく序盤を無失点で切り抜けたいところだ。
(文/山口裕平)
<監督コメント>
ジョセップ・グアルディオラ(バイエルン)
「準々決勝では2度目のチャンスというのはない。重圧は大きいが、我われはこういった状況でいつもうまくやってきた。すべては細かい戦術で決まるんだ。選手たちはマンチェスターでの試合(第1レグ)でユナイテッドがどのようにプレーするかわかったはずだ。彼らは自らの武器と弱点を知っている。ユナイテッドは偉大なクラブで、第1レグの前はみなバイエルンの話をしていたが、今は彼らが勝利できるかもしれないということをわかっている。だが、ホームでファンの声援を受けてプレーする我われがこの試合に勝利できるはずだ」
デイビット・モイーズ(マンチェスターU)
「第2レグが本当に楽しみだよ。準決勝に進めるチャンスがあって……すべての選手たちが待ち望んだ激しい試合になるだろう。我われは準決勝に進むために全力を尽くすつもりだ。この大会のこのラウンドのレベルは高く、非常に難しいタスクもあれば、もちろん困難なゲームでもある。両軍には多くのトップ選手たちいるが、私は全力を尽くすし、それが選手たちが結果を勝ち取るための助けになるかもしれない」