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ブンデスリーガでの新たな試み。審判のための有限会社を設立

2020.01.30

 世界最高の審判がブンデスリーガで笛を吹かなければならない――。ドイツサッカーリーグ機構(DFL)のクリスティアン・ザイフェルトCEOの希望が叶う時が来るようだ。1月22日付の『シュポルト・ビルト』誌によれば、ドイツサッカー連盟(DFB)とDFLが、共同で審判のための有限会社を設立するという。 

審判組織運営のプロ化を目指す

 両組織は、来シーズンのブンデスリーガ開幕に向けて準備を進めているようだ。DFBの審判部門を独立させ、有限会社を立ち上げたところに、DFLが予算の49%を出資する計画だという。ドイツのスポーツ専門通信局『SID』によれば、この計画の目的は審判組織運営のプロフェッショナル化だ。

 将来性のある若年層の審判のスカウティング(ドイツでは、選手と並行しながら10代で審判を務めることも多い。1試合につき15ユーロ(約1800円)が支払われる)、育成、そして管理・ケアを行う専門的な機関を作ることを目指すという。

 この組織は、イングランドの組織形態にならって作られるようだ。DFLは管轄のブンデスリーガとブンデスリーガ2部の審判団に、毎年約2000万ユーロ(約24億円)を出資する。この予算が足りない場合はDFLが追加で資金を投じることで合意している。

健全な発展のための大胆な施策

 DFBはこの組織に資金を投じることはない。だが、これまで審判部門の責任者を努めてきた2人が組織の代表者に収まりそうだ。1人は審判団代表を務めているルッツ・ミヒャエル・フレーリッヒ。もう1人はこれまでDFBの審判部門の統括を努めてきたフロリアン・ゲッテ。前者はより現場に近い仕事を引き受ける。後者は組織の運営面を引き継ぐことになる。

 運営の透明性を確保するため、DFLは監査役員として経営に参画する。裁定はこれまで通りDFBが担当する。その一方で、ブンデスリーガ、ブンデス2部の審判の割り当てはDFLが担当することになる。

 DFBの審判部門内での派閥体質や、審判の割り当てに透明性を欠くことも指摘されているため、健全な発展を持続させるために“プロフェッショナル化”という名目のもと、大胆な施策を打つことになったようだ。


Photo: Getty Images

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Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。

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