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「男女選手間の賃金格差是正を」イングランド女子代表選手の訴え

2019.11.07

 「他の国がそれ(賃金格差是正)を行っているんです。もちろん、私たちの国にもそれを望みます」

 英国メディア『BBC』に対しこう発言したのは、イングランド女子代表チームのジョーダン・ノブス。アーセナル・ウィメンに所属する26歳のMFは、同じくイングランド代表のMFベス・イングランド(チェルシー・ウィメン)とともに男女代表チームの賃金格差是正をFAに訴えた。

すでに男女格差が是正されつつある国も

 ジョーダン・ノブスが言及した「他の国」とは、オーストラリアのこと。同国のサッカー連盟とプロサッカー選手協会は11月6日、サッカールーズ(男子代表)とマチルダス(女子代表)間の賃金格差を是正する新労働協約を締結した。これにより、女子選手の契約システムは新たに3段階に集約され、その最上位の選手の報酬は年間約6万6000ドル(約720万円)から約10万ドル(約1100万円)へと引き上げられる。これは、男子代表のトップ選手と同等の額だという。このほか、W杯での賞金の選手への分配割合も増すこととなる。

 また、ニュージーランドやノルウェーもすでに男女間の賃金格差是正に取り組んでいる。

 今月9日(土)にウェンブリーで開催されるイングランド対ドイツが、英国における女子の国際試合史上最多観客動員を記録することが見込まれるなど、隆盛著しい英国女子サッカー界。しかしその一方で、スリーライオンズ(男子代表)とライオネシズ(女子代表)との間には依然として大きな格差がある。その是正のために、ピッチ外での「今まさに進行中であり、長いプロセス」を続けていく必要があると、ベス・イングランドは決意をにじませる。

 同じく女子サッカーが盛り上がりを見せるスペインでは、労働協約締結を求め1部リーグ所属選手がストを行うことを決めている。こうした動きは今後も各国に波及していくことになりそうだ。


Photo: Getty Images

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久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。

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