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就任1カ月でチームをセリエAへ。ベローナ監督の明日はどっちだ?

2019.06.04

エラス・ベローナ、見事な逆転劇でセリエA昇格

 2日、セリエBの昇格プレーオフ第2レグが行われ、エラス・ベローナがチッタデッラに3-0で勝利。2戦での総合成績を3-2とし、セリエA昇格を決めた。

 アウェーでの第1レグは0-2で負けていた。「だがたくさんチャンスは作っていた。ホームのベンデゴティで応援を受ければひっくり返せる」。アルフレード・アリエッティ監督の見込み通り、逆転を達成。27分、相手の高いDFラインを見事な速攻で崩した後でマッティア・ザッカーニが先制ゴール。その後もアグレッシブなサッカーで試合を支配し続けたのち、後半に退場者を出したチッタデッラを捕まえて70分に同点、そして83分に逆転ゴールを決めた。街のシンボルであるアレーナ(古代ローマ時代の円形闘技場、現在は野外劇場として使用)の周りには、大勢のファンが集って夜通しセリエA昇格を祝った。

 「私の手柄だと思っている」。試合後、アリエッティ監督はそう胸を張った。実は就任したのはレギュラーシーズン終了間際の5月2日。プレーオフをにらんだ緊急就任で、自身としても初めてのセリエA昇格を勝ち取った。

「他の監督では無理だった」でも来季は……

就任から1カ月でチームを生まれ変わらせたアルフレード・アリエッティ監督

 マウリツィオ・セッティ会長は若手を中心とした攻撃サッカーを志向していた。昨シーズンはファビオ・ペッキア監督に仕事をさせていたが、今シーズンもポゼッションサッカー路線を継承しファビオ・グロッソ監督に指導を任せていた。

 ところがシーズンを通してコンスタントな結果が出なかった。試合では70%を超えるボールポゼッションを記録するものの、相手により多いシュートを叩き込まれて敗れる試合も少なくなかった。ただでさえ厳しく気性の荒いエラス・ベローナのサポーターは抗議デモを繰り返す。チームはプレーオフを前に全然勝てなくなり、セッティ会長はやむなくグロッソを解任。その後任として、エンポリやエンテッラなどで実績を築いていたアリエッティに急場を委ねた。ポゼッションを意識するあまり横パス主体になりすぎていたところを、縦方向の崩しを入れるように修正し、攻撃サッカーを再活性化させた。

 もっとも地元各メディアの報道によれば、そのアリエッティ監督は来シーズンの続投を確約されていないようである。A昇格に伴ってスポーツディレクターも変更されるとの噂も立っており、監督人事もそれに左右される模様。「クラブと話し合いたい。他の監督とスタッフではこの偉業達成は無理だったと思っている」と豪語する指揮官が、サッカー指導者としては自身初となるセリエA挑戦の切符を手に入れられるかどうか、注目される。

Photos: Getty Images

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エラス・ベローナ戦術

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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