プレーオフ抽選会の前、スウェーデンの地元紙『アフトンブラデット』が行った「プレーオフで対戦したくない国は?」という読者アンケートでは、過半数の66.93%がポルトガルを挙げていた。
かくして対戦相手がポルトガルに決まった時、各メディアはお決まりの「悪夢のような結果」という見出しで記事を書き立て、監督のハムレンも「どのチームと対戦してもチャンスはある」としながらも、彼らの優位は認めている。一方、スウェーデン代表の歴代最多出場記録(146)を更新し続けている37歳のベテランMFスベンソンは、厳しい相手と受け止めつつも「自分たちが対戦相手ということは、ポルトガルにとってもプレッシャーになるはず」と強気な姿勢を崩さなかった。
ポルトガルとは前回南アフリカW杯予選で同じグループになっており、この時はホームとアウェイともに0-0と互角の結果だった。実は、過去15回の対戦成績でスウェーデンはポルトガルに対し6勝6分3敗と勝ち越している。さらに言うと、過去7回あったアウェイ戦では一度も負けていないのだ。敵地での第1レグでは、こうした相性の良さが少なからず彼らの気持ちを後押しするに違いない。
今回の対戦では、世界を代表するイブラヒモビッチとロナウドの2人がとかく注目され比較されがちであるが、当のズラタン(イブラヒモビッチ)本人はそうした偏った報道に関して「フォーカスすべきは自分たち2人ではなく、スウェーデンとポルトガルというチームについてだろう」と苦言を呈している。実際彼が厳しくマークされることが予想される以上、出場停止だったエースを欠きながらFWヒセーン(今回は招集外)とMFカチャニクリッチの連係で先制した先月のドイツ戦(3-5で敗戦)のように、いい意味でズラタンに頼らない試合運びをすることがスウェーデンにとっては必要となる。
また彼は「自分たちが結果を出すためには、ミスをなくし自分たちのなすべきことをする必要がある」とコメント。実際、先月の予選では先にも触れたドイツ戦では一時2-0とリードしながら、DF陣のミスにより後半に守備が崩壊、終わってみれば5失点を喫した。クラブでの出場機会が少ない上にドイツ戦でミスを連発したCBのアントンソンとニルソンのどちらかに代えて、好調なヨナス・オルソンをスタメンに戻してくるかどうかは注目ポイントの一つだ。
ちなみに、この2チームに関する面白いデータがある。今回の欧州予選において、対戦相手にリードを許した後に獲得した勝ち点が一番多いのがスウェーデン(勝ち点11)で、2番目がポルトガル(同8)だった。つまりこの両者は、スロースターターで先制されながらも粘り腰を見せ、最後にはドローか勝利に持ち込む、という似たような性格を持っているのだ。互いに相手が自分たちと似ているということは知っているだろう。そのため、たとえ早々に試合が動いたとしても、180分間目の離せない試合になることは間違いない。
(文/佐藤真理子)