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「ガラスのアラン」と囁かれ…本田の元同僚MFザゴエフの受難

2019.06.06

レアル・マドリーのDFナチョと競り合うCSKAモスクワのロシア代表MFアラン・ザゴエフ

“あらゆる困難は過ぎ去ってほしい。だが、そう簡単にいかないのがフットボールだ”

Alan Dzagoev
アラン・ザゴエフ

MF10|CSKAモスクワ
1990.6.17(28歳) RUSSIA

 「ガラスのアラン」――いつからかこんなニックネームが、ザゴエフの陰でささやかれるようになっていた。ロシア屈指のゲームメイカーは、毎シーズン負傷に悩まされ続け、患部は7箇所、長期離脱は14回に及ぶ。選手生命を脅かす大ケガこそ回避してきたが、たび重なる肉離れにより筋肉のバランスが崩れ、負のサイクルに陥ってしまった。

 「欧州トップリーグに挑戦したい」とたびたび公言し、これまでチェルシーやシュツットガルトなど複数クラブからの関心も本人の耳には届いていた。しかし、そのたびに負傷がネックとなり正式なオファーは届かず。「この大会後に移籍が叶わなければロシアから出るのはもう難しい」と決死の覚悟で臨んだ昨年のW杯でも、初戦で古傷を痛め無念の途中交代。満足な結果を残すことはできなかった。私生活ではザゴエフの酒癖の悪さと浮気が原因とされる離婚危機が報じられ、ピッチ外でもストレスを抱えることに……。

左ハムストリングを負傷しうずくまるロシア代表MFアラン・ザゴエフ
母国開催ロシアW杯のオープニングマッチとなったサウジアラビア戦で左ハムストリングを負傷しうずくまるザゴエフ。8強進出に沸いたチームとは対照的に、不完全燃焼の大会となってしまった

 若い頃から将来を嘱望され続けてきた逸材もすでに28歳。「ロシアに残るのならCSKAモスクワでキャリアを終えたい」と覚悟を決めた矢先、今年2月に右膝前十字靭帯を損傷する重傷を負ってしまった。受難の選手人生を送るザゴエフには、半年にも及ぶリハビリ生活が待っている。

Photo: Getty Images

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CSKAモスクワアラン・ザゴエフ

Profile

篠崎 直也

1976年、新潟県生まれ。大阪大学大学院でロシア芸術論を専攻し、現在は大阪大学、同志社大学で教鞭を執る。4年過ごした第2の故郷サンクトペテルブルクでゼニトの優勝を目にし辺境のサッカーの虜に。以後ロシア、ウクライナを中心に執筆・翻訳を手がけている。

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