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ジュゼッペ・ロッシ。手術5回の試練にも挫けず復活を目指す

2019.06.05

ジェノア時代のジュゼッペ・ロッシ

“僕はまだ若い。プレーに戻る準備はできてるよ”

Giuseppe Rossi
ジュゼッペ・ロッシ

1987.2.1(32歳) ITALY

 今年1月、ジュゼッペ・ロッシはマンチェスターにいた。ユナイテッド時代の同僚であるオーレ・グンナー・スールシャール監督の計らいで、練習に参加させてもらうことになったのだ。「調子の良さに練習では驚かされているよ。美しいシュートを決めて、サー・アレックス・ファーガソンが『(補強に)あの男はどうだね?』なんて仰ったぐらいさ」と指揮官は語った。実際は、他にチームが見つかるまでのコンディションアップが目的。重大な故障に振り回された運命に、彼は抗い続けている。

 ビジャレアル時代に半月板を痛めたことから始まり、2011年には右膝前十字靱帯を断裂。長期の戦線離脱を経て復帰するも、別の靱帯が痛んだり過去の箇所が断裂したり、左膝の靱帯も断裂したりするなど故障は続く。手術は合計で5度に及んだ。無所属となっていた2017年12月からジェノアと契約を交わすも、また筋肉系の故障で本領を発揮できず。契約更新とならなかった後は12チームから契約を拒否された。

 しかし、粛々とトレーニングは継続中。昨年9月には反ドーピング検査で指定薬物の陽性反応が出たが、「ごく微量の成分が知らない間に体内に摂取されていた」という反論が受理され、出場停止などの処分は免れた。2月にはMLSのロサンゼルスFCのトライアルに参加したというニュースも入った。靱帯の故障は他の部位の筋肉系トラブルにも影響し、再発のリスクも上がる。その中でG.ロッシは諦めず、実戦復帰へ孤独な挑戦を続けているのだ。

Photo: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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