文 木崎伸也
第23節を終えて8位のホッフェンハイム。前半戦終了時点で7位、勝ち点25というのは、昨シーズン(勝ち点26/7位)とほぼ変わりがなかった。ニャブリとウートを失ったことを考えれば、騒ぎ立てる結果ではなかっただろう。ただ、最後の8試合で一度も勝てなかった(6分2敗)ことが印象を悪くした。8試合勝利なしはナーゲルスマンにとって初めて。いったい何が誤算だったのだろう?
1つ目は、3バックの左CBを務めるベンヤミン・ヒュブナーの長期離脱だ。昨年8月に見舞われた脳震盪の回復が思わしくなく、復帰したのは第14節ボルフスブルク戦だった。
2つ目は3バックの中央、ケビン・フォクトの不振である。過去2シーズンは同ポジションで最後尾からパスを通す“クォーターバック”として大活躍していたのだが、負担と消耗は想像以上に大きかったのだろう。今シーズンは攻守に精彩を欠き、4バックの前でアンカーとして出場したボルフスブルク戦ではハーフタイムに交代。監督と話し合い、リフレッシュのために4日間の休暇が与えられ、3試合欠場した。
今シーズン4バックを採用する試合が増えたのは、ヒュブナー離脱とフォクト不振の影響だった。パベル・カデジャーベクは「やはり僕らには3バックの方が合っている」と語っている。
そして3つ目は、攻撃における運のなさだ。チャンスは作れているのだが、なぜか決まらない。象徴的だったのが、前半戦最後の試合だった第17節マインツ戦。シュートがポストに3回、バーに1回直撃した。ナーゲルスマンは試合後にこう嘆いた。
「チャンスは作れている。その75%を生かせていたら、現状より9、10ポイント多く稼げていただろう」
この31歳の指揮官は、バイエルンやドルトムントとの差は早い時間での決着にあると考えている。
「弱い相手に対して早い時間にゴールを決めれば、残り時間は半分の力で戦うことができる。だが65分になっても決められなければ消耗する。私たちはより早く決着をつけなければならない」
失点の多さが批判されているが、ナーゲルスマンは守備を固めることは考えてない。攻撃こそが若き指揮官の真骨頂だ。
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