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チーム不振でチャンス到来も。ブラジルから飛来した超新星“PH7”

2018.10.17

ロジャー・シュミット時代の終焉後、若手育成路線へと方針を転換したレバークーゼン。第7節を終えてリーグ戦14位と出遅れてしまったチームにとっては、起爆剤となるような新星の台頭が待たれるところ。将来を見据えて獲得した18歳の若武者パウリーニョの抜擢が早まるかもしれない。


PAULINHO
パウリーニョ
レバークーゼン FW
2000.7.15(18歳)175cm/74kg BRAZIL


 昨シーズンはハイコ・ヘアリッヒ監督の下、ブレイクを果たしたレオン・ベイリーを筆頭にユリアン・ブラントやカイ・ハベルツら若手中心のチーム作りを進めCL出場権を争うところまで復活を遂げたレバークーゼン。トップ4返り咲きを目標に掲げる今シーズン、そんなチームに加わった新たなスター候補生、それがブラジル人の神童パウリーニョである。

 16歳でブラジル全国選手権デビューを果たし、“カカー2世”とも称される2000年生まれの18歳には、当然のことながら多くのクラブが注目。マンチェスター・シティらが獲得に乗り出していたが、なぜパウリーニョはレバークーゼンを選んだのか。

 そこには2つの理由がある。1つは、若手路線に切り替えたレバークーゼンの動きの早さ。今年4月には獲得を決めていたことからもわかるようにライバルに先んじて交渉を進め、市場価値3000万ユーロとも言われる俊英を2000万ユーロで獲得することに成功したのだ。

 もう1つは、パウリーニョ側の意向だ。いかに期待の逸材とはいえ、7月に18歳になったばかりの選手がメガクラブでいきなり出場機会を得るのは難しい。加えて、レバークーゼンは本人が加入会見で口にしたジョルジーニョをはじめエメルソンやゼ・ロベルト、ルシオらブラジル人の先達たちが欧州での足がかりをつかんだクラブでもある。ゆえに、第一歩を刻むには最適と判断したのだ。

 プレーの特徴をひと言で表すなら、速さ、強さ、巧さを兼ね備えたウインガー。思い切りの良さもあり個で局面を打開できるため、空いているスペースをどんどん突いていくレバークーゼンのスタイルにマッチする。

 また、注目したいのはプレー面だけではない。本名の「Paulo Henrique」の頭文字と背番号を組み合わせて、クリスティアーノ・ロナウドのCR7を思わせる“PH7”を自称。加入会見に同席した父親がロゴマークをあしらったキャップをかぶっていたことが話題となった。一方で、チームメイトのヨナタン・ターいわくドイツ語を積極的に習得しようとしているそうで、少しでも早くチームに溶け込もうとする努力家の一面も見せている。

 適応に苦労するとすれば守備面。ある程度自由にプレーすることができたブラジル時代とは違い、ブンデスリーガ特有のアップテンポなリズムの中で自らの良さを殺すことなく求められるタスクをこなせるかどうか。「ゆっくり適応させていく」というヘアリッヒ監督の方針通り、ここまでは途中出場が中心で先発はELでの1試合のみとなっている。ただ、チームはブンデス第7節を終えて早くも4敗(2勝1分)と低迷。今後の状況と本人のパフォーマンス次第では一気にチャンスをつかみ飛躍する可能性を秘めている“PH7”に、今から注目してほしい。


Photo: Bongarts/Getty Images

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パウリーニョレバークーゼン

Profile

久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。

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