再開を1週間後に控えた1月18日、オーストリアの地である「異変」が起きた。他を寄せ付けない強さでヘルプストマイスター(秋の王者)の座に就き、年末には世界王者に輝いたバイエルンが、ザルツブルクとの練習試合に0-3で敗れたのだ。試合後、グアルディオラ監督は「いい教訓になった」と気を引き締めた。とはいえ、この一戦ではラームやリベリ、シュバインシュタイガー、ロッベンらを欠いた上、3バックを試すなどしておりあくまでテストマッチ。バイエルンの優位は揺るがない。勝ち点3制度が導入された95-96シーズン以降、前半戦で2位に勝ち点4差以上をつけたチームは例外なく優勝を果たしている。この冬の補強はなかったが、ケガ人の復帰が何よりの補強になる。
そのバイエルンを再開初戦にホームで迎え撃つボルシアMGは、前半戦で3位に食い込み周囲を驚かせた。FWマックス・クルーゼとラファエウ、MFヘアマンとアランゴで形成する強力な攻撃陣「ファンタスティック4」が注目されがちだが、就任4年目のファブレ監督がもたらした組織的な守備も対戦するチームにとっては厄介。半年前の開幕戦(3-1)もスコア以上に接近した内容だったことを考えると、バイエルンにリーグ戦初黒星をつける可能性にも期待したい。
年末に失速し4位に転落してしまったドルトムントだが、後半戦での挽回に向けた仕上がりは順調に見える。中断期間中に行われたトレーニングマッチでは格下相手とはいえ4戦全勝。故障者が相次ぎパフォーマンス低下の一因となった守備陣の層の薄さは否めないものの、フンメルスはまもなく復帰する見込みであり、加えてMFギュンドアンも戦列復帰に近づいている。
一方、同じルール地方のライバルである7位シャルケには暗雲が立ち込めている。CBパパドプロスの戦列復帰やフンテラールのチーム練習合流など明るい材料もあるが、2部ケルンとの練習試合に敗れた(2-1)ことでケラー監督解任論が再燃。加入後いきなり離脱を余儀なくされたキルヒホフを筆頭にドラクスラー、ヘベデスら負傷を抱える選手も多く、低調なパフォーマンスが続くようだといよいよ解任は避けられなくなりそうだ。
バイエルンを勝ち点差7で追いかける2位レバークーゼンに大きな動きはない。2人の新加入選手が加わったものの、即戦力の獲得はなし。後半戦は対戦相手が武器であるカウンターを警戒してくることが予想されるため、自ら仕掛けるサッカーを展開していく必要があるだろう。
■補強成功。上昇気流に乗るボルフス
その他のチームで、後半戦の台風の目になりそうなのが5位ボルフスブルクだ。ボランチのルイス・グスタボを中心に前半戦19失点に抑えた守備陣はリーグ3位の成績。攻撃陣には昨季ブレーメンで10ゴール9アシストを記録したベルギー代表MFデ・ブルイネがチェルシーから加わった。最下位ブラウンシュバイクに敗れたかと思えば、ドルトムントに競り勝つなど前半戦にあった調子の波をなくすことができるかがポイントとなる。
昇格1年目ながら6位のヘルタ・ベルリンにも、CL出場権獲得の可能性はある。昨季は昇格の立役者となったMFロニーが1部の舞台でもチームを牽引。細貝もボランチとして守備の安定に大きく貢献している。9位マインツでは8得点の岡崎がヨーロッパの舞台へとチームを引っ張る。中盤にク・ジャチョルが加わったことでトゥヘル監督の目指す切り換えの速いサッカーはより完成度が高まるだろう。
残留争いに目を向けると、MF長谷部に加えてCBポガテツが負傷で戦線離脱した17位ニュルンベルクは厳しい状況で再開を迎えなければならない。15位フランクフルトはマイアーがケガから復帰、13位ハノーファーはコルクート新監督を迎え立て直しを図る。10位シュツットガルトから昇降格プレーオフ行きとなる16位フライブルクとの勝ち点差はわずか5。中位勢にとってもまだまだ油断はならない状況となっている。
(文/山口裕平)