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なぜナーゲルスマンのポゼッションは通用している?

2017.01.28

 今ブンデスリーガでは「パワーフットボール」が流行している。ハイプレスと素早い攻守の切り替えにこだわるサッカーだ。ラングニックが土台を築いたホッフェンハイムもその流れを汲み、昨季途中に就任したナーゲルスマンもそれを踏襲した。だが、29歳の指揮官にとってあくまで急場しのぎだったようだ。今季からポゼッションスタイルに挑戦し始めたのである。

 ただし、試行錯誤の時間が必要だった。第2節マインツ戦では守備時は[4-3-3]、攻撃時に[3-5-2]となる可変型システムで臨んだが、27分までに3-0にされてしまう。しかし後半、攻守とも3バックを保つ形へと修正し、最終的に4-4の引き分けに持ち込んだ。

 これがナーゲルスマン流の基礎になる。

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 基本布陣は[3-5-2]だ。まずは横並びの3バックがショートパスを回す。中央にボランチが本職のフォクトが入るのがポイントだ。相手のプレスはアンカーのルディを使ってかわし、他の選手たちはそれに呼応して斜めに動きフリーになって3バックからの縦パスを引き出す。ルディはこのシステムを「もの凄くフレキシブル」と語っている。引き分けが多いものの、折り返し地点となる第17節を終えて唯一無敗をキープ。新たなポゼッションスタイルの誕生すら期待させる。

Photo: Bongarts/Getty Images

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ケビン・フォクトセバスティアン・ルディホッフェンハイムユリアン・ナーゲルスマン

Profile

木崎 伸也

1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。

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