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Photo: Getty Images

2017.05.10 19:45

REVIEW

UEFA CHAMPIONS LEAGUE / SF 2nd leg

禍を転じて福と為す。アレグリ采配が呼んだ先制点

勝負を分けたワンプレー:ユベントス 2-1 モナコ


UEFAチャンピオンズリーグ全試合を放送する『スカパー!』と『footballista』がコラボレーション。注目カードの勝敗を分けたポイントを、『footballista』執筆陣が詳細に分析する。


 前半終了時点で2-0(2試合合計4-0)というスコアだけを見れば、第1レグ同様ユベントスにとっては楽な試合だったように思えるかもしれない。しかし33分の先制ゴールで流れを手元に引き寄せるまでは、まったく異なる水路に試合が流れ込む可能性も十分にあった。

 立ち上がりの10分間は、アグレッシブなハイプレスに出てきたモナコのペースだった。

 ジャルディン監督は、ユベントスの3トップと3対3の数的均衡になるリスクを承知で、最終ラインを右からラッジ、グリク、ジェメルソンの3バックとし、中盤に人数をかけて2トップの下にベルナルド・シルバを置く[3-4-1-2]の陣形を選んだ。

 一方のユベントスは、第1レグ同様バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニの3バックを基本に、状況に応じてダニエウ・アウベス、アレックス・サンドロが最終ラインに加わる可変最終ラインでこれに応じる。

 しかし左右のウイングバックがシディベ、バンジャマン・メンディとマッチアップする形になったため、中盤センターではピャニッチ、ケディラの2人がバカヨコ、ジョアン・モウティーニョ、B.シルバの3人に対して数的不利の状況に置かれてしまった。

 最終ラインからのビルドアップでは、モナコの厳しいプレスの前に出しどころがなくなって自陣からボールを持ち出す前に引っかかり、そこから攻め込まれたクロスや縦パスをはね返しても、中盤で数的優位に立った相手がセカンドボールを拾って再び攻め直してくる。

 最もひやっとしたのは、5分にムバッペが左サイドを抜け出してブッフォンと1対1になり、ファーポストにシュートが嫌われた場面。結果的にはオフサイドだったのでたとえ入っていたところで得点は無効だったが、もしほんの少しのタイミングの違いでこの場面から先制を許していたら、そこから先はまったく別の試合になっていたはずだ。

 ユベントスが初めて相手のプレスをかわし敵陣深くまでボールを持ち込んだのは8分。自陣からケディラが目の前にスペースを見つけてドリブルで持ち上がり、敵中盤ラインの後ろまで攻め込んだ。

 ところがこのプレーで敵と交錯したケディラが、左のハムストリングを傷めて途中交代を強いられてしまう。しかし、これを「禍(わざわい)を転じて福と為す」機会として活用するのだから、アレグリ監督もしたたかである。

 交代で入ったマルキージオに、ピャニッチと2人でモウティーニョとB.シルバをケアし、モナコの3人のMFの中では最も後ろでプレーするバカヨコはディバラが前線から下がって見るように指示。中盤での数的不利をすんなり解消してしまったのだ。

 同時に攻撃の組み立ても、後方からの繋ぎにこだわらず、前線左サイドに流れたマンジュキッチにボヌッチからロングボールを送り込むパワープレーに切り替える。

 相手の頭上を飛び越えることでハイプレスを無効にし、マンジュキッチ対ラッジのフィジカルバトルに活路を見出そうというだけでなく、コンパクトに押し上げてきていた相手の陣形を間延びさせ、最終ラインと中盤の間に否応なく生まれるスペースでイグアインやディバラがセカンドボールを拾って、そこから一気に攻め込もうという狙いである。

 もちろんこちらの陣形も間延びするのでオープンな乱打戦になる危険もあるが、そこは個のクオリティにおける優位を生かして押し切ってしまえばいい、とにかく一方的に押し込まれた流れを変える必要がある、という判断だったのだろう。

 果たして、ここから試合の流れはユベントスの方へと傾いて行く。


■“全ゴール”を演出。絶好調男がトドメ


 15分にはキエッリーニからのロングボールをマンジュキッチが頭で落とし、後方から走り込んだディバラが直接シュートを打つが、これは当たり損ねる。だがユベントスはここからの15分で実に4回、GKと1対1になる決定機を作り出すことになる。

 22分にはボヌッチからのロングボールをディバラが落とし、それを拾ったイグアインが裏に抜け出してシュート。25分には珍しく左サイドでの組み立てから、イグアインのスルーパスに反応したマンジュキッチが抜け出す。さらにその3分後にも、スカスカになったモナコの中盤を突っ切って自陣からピャニッチがドリブルで持ち上がり、ディバラとのワンツーで裏へ。

 この3度もの絶対的なチャンスを決め切れず、31分に逆にモナコがセットプレーの2次攻撃からファルカオの危険なシュートでブッフォンを脅かし、その流れからさらにCKを2度繰り返した時には、嫌な空気が漂った。

 しかし、このCKからのカウンターで先制ゴールが生まれるのだから、勝負の綾というのは不思議なものだ。

 CKのこぼれ球をキャッチしたブッフォンが素早く左サイドにスローで展開。これを受けたA.サンドロがドリブルでオープンスペースを一気に持ち上がり、それにディバラ、イグアイン、マルキージオが伴走して4対4のカウンターアタックになる。

 A.サンドロからパスを受けたディバラが一瞬判断に迷ってタメを作り、そこに敵MFが戻って来た時には、フィニッシュへのタイミングを逸したかに思われた。しかしそこでディバラがいったん後方に戻すと、第2波として上がって来たピャニッチが、やはり右サイドを駆け上がって来たD.アウベスにサイドチェンジ。

 D.アウベスは、敵の4バックが前線に留まっていたマルキージオとイグアインに釘づけになる中、ファーポスト目指してフリーで駆け上がってきたマンジュキッチを見逃さなかった。

 第1レグでイグアインの2点目を呼んだのと同じく、中央に絞ったグリクの背後に走り込んだ味方にピンポイントで合わせる絶妙なクロス。マンジュキッチのヘディングシュートはGKスバシッチにセーブされたものの、その勢いでこぼれ球に詰めて左足でゴールにねじ込んだ。

 第1波で4人、第2波で3人、計7人をカウンターから敵ゴール前に送り込み、力ずくでゴールを奪い取ったユベントスは、それを最後に自ら望んで持ち込んだ乱戦をさっさと切り上げ、ポゼッションでペースを落としてのゲームコントロールへと、躊躇なくギアを切り替える。

 そして44分には、ディバラがGKと1対1になる絶好のチャンスをまたも決め切れずに得たCKから、GKのクリアをペナルティエリア手前で叩いたD.アウベスのボレーシュートが美しい軌道を描いてゴールに吸い込まれ、決定的な2-0。

 すでに勝負が決した後半は、モナコが一矢を報いて一瞬緊張が戻った最後の20分、踏みつけや肘打ちが飛び交うナーバスな神経戦になったが、ユベントスは冷静を保ってこれを乗り切り、無事にカーディフでの決勝へと駒を進めることになった。

 捨て身で前に出て来たモナコの圧力に一瞬たじろぎながらも、タイミングを捉えて的確な戦術変更で対処した指揮官の采配、それを100%理解して遂行し、勝利を手元に引き寄せたチームの成熟度、そして何よりもこの2試合で4得点すべてに絡み(1得点3アシスト)、それ以外にも数多くのチャンスメイクに貢献したD.アウベスの絶好調ぶりが際立った試合だった。

(文/片野道郎)



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今夜のアトレティコ・マドリー対レアル・マドリーは工藤拓さんがレビュー、こちらもお楽しみに!

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