MON-v-JUV#1

Photo: Getty Images

2017.05.04 18:45

REVIEW

UEFA CHAMPIONS LEAGUE / SF 1st leg

モナコのお株を奪ったユーベのカウンター炸裂

勝負を分けたワンプレー:モナコ 0-2 ユベントス


UEFAチャンピオンズリーグ全試合を放送する『スカパー!』と『footballista』がコラボレーション。注目カードの勝敗を分けたポイントを、『footballista』執筆陣が詳細に分析する。


 前日のマドリッドダービー同様、もう一つの準決勝もこのファーストレグで大勢が決した感は否めない。

 ビッグマッチに弱いと言われ続けてきたイグアイン(過去にプレーしたUCL決勝ラウンド24試合でわずか2得点)が見事なドッピエッタ(1試合2得点)でアウェイゴールを積み上げれば、守ってはバルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニの「イタリア版BBC」がモナコの攻勢をよく食い止め、3度与えた絶対的な決定機もすべて39歳の守護神ブッフォンがビッグセーブ。試合の大半で主導権を相手に渡しながらも、作り出した決定機をしっかりモノにする決定力、そして終始落ち着いたゲームコントロールで、ユベントスが若いモナコに違いを見せつけた。

 立ち上がり、攻勢に立ったのはユベントス。守備時の布陣は[4-4-1-1]だが、攻撃時には右SBに起用したバルザーリが内に絞ると同時に左SBアレックス・サンドロが中盤にポジションを上げてダニエウ・アウベス、マルキージオ、ピャニッチとともに中盤のラインを形成。その前でディバラ、イグアイン、マンジュキッチが3トップを形成する実質[3-4-3]とも言うべき布陣でボールを支配し、主導権を握った。

 ユーベの狙いは左サイド。ウイングのベルナルド・シルバが内に絞ったポジションを取りがちなうえに戻りが遅く、しかも左SBメンディの欠場でシディベが左に回ったため、本来ウイングのディラルをSBに起用せざるを得なかったモナコの右サイドに的を絞って揺さぶりをかける。

 イグアイン、ディバラも参加して数的優位を作り出した中央のゾーンからビルドアップを始め、モナコの中盤を中央に寄せたところで、B.シルバの背後でフリーになったA.サンドロに展開。ディラルに対してマンジュキッチと2対1の関係を作り出すというパターンから、再三サイドを深くえぐってクロスを折り返す。

 ただ、本当に危険な場面を作り出したのは、中央から左に開いて相手を寄せたところからさらに逆に振って、右サイドでフリーになっているD.アウベスを使うという展開から。

 中盤センターに並べたピャニッチ、マルキージオを経由しての素早く正確なサイドチェンジによって10分、12分と立て続けにD.アウベスがフリーでペナルティエリアに侵入するチャンスを作り出す。

 1度目はファーサイドでフリーだったマンジュキッチにクロスを上げるべきところをシュート、2度目はシュートを打つ時間とスペースがあるにもかかわらず不正確なクロスというプレー選択のミスでチャンスを実らせることができなかったD.アウベスだが、これで終わることなく、この後勝利に決定的な貢献を果たすことになる。

■モナコの勢い封じた老獪なペースダウン

 このままユベントスが主導権を握って進むかと思われた試合の流れが変わったのは16分。自陣からのビルドアップで、キエッリーニからの縦パスをマンジュキッチがトラップミス。これを奪ったディラルがそのままスピードに乗ったドリブルで右サイドを駆け上がり、背走するユーベ最終ラインの裏に速いクロスを送り込む。

 これに対して、スタート時点では3mは後ろにいたンバッペが爆発的なスプリントでボヌッチとキエッリーニの間をぶち抜くと、左足のインサイドでクロスに触ってシュート。しかしニアポスト際に的確にポジションを取ったブッフォンが正面でこれをセーブし、危機を救う。

 このカウンターアタックをきっかけに、ユベントスの攻めの姿勢がやや鈍り、一方のモナコは勢いに乗って積極的に前からプレスをかけ始める。ユベントスは自陣からスムーズにボールを持ち出せず、ビルドアップが中盤で行き詰まることが多くなった。

 しかし、そこで焦ることなくいったん試合を落ち着かせにかかるところがユベントスの老獪さである。難易度の高いパスで無理に局面を前に進めようとせず、安全にボールを繋いで試合のリズムをスローダウンさせ、モナコが望むオープンな撃ち合いには持ち込ませない。

 逆に29分、マルキージオがプレスに来たモナコMF陣の背後に浮き球のパスを送り込み、それを前線から下がって来たディバラがヒールで落としたところから強力なカウンターアタックを炸裂させ、一気にゴールを奪ってしまう。

 前を向いてディバラの落としを受けたD.アウベスが、押し上げた敵最終ラインの手前にポジションを取っていたイグアインとのワンツーでそのまま裏に抜け出し、DFに追いつかれたところで急制動をかけヒールで中央に折り返す。これを落ち着いてファーポスト際に流し込んだのは、フリーで走り込んできたイグアインだった。

 いったんリードしてしまえば、いっさい無理をすることなく試合を眠らせるのがユベントスのやり方。1-0のまま迎えた後半の立ち上がり、ピャニッチの不用意なパスミスから自陣中央でボールを失い、スルーパスを受けたファルカオがGKと1対1になる絶体絶命のピンチに直面したが、シュートが当たり切らなかった幸運もあってブッフォンががっちりとセーブする。

 そして59分、敵陣の浅い位置でディバラとD.アウベスがバカヨコを挟み込んでボールを奪ったところからユベントスがカウンターアタック。右サイドを持ち上がったD.アウベスが、CBグリクの背後に流れてフリーで走り込んだイグアインの絶妙な動きをしっかり確認しつつ、ピンポイントのクロスをファーサイドに送り込み、これにぴったり合わせた背番号9がゴールネットを揺らしてずっしりと重い2点目をもぎ取った。

 先制点を奪う直前、28分の時点では62%だったユベントスのボール支配率は、前半終了時点で51%、フルタイムでは48%まで下がっていた。リードした後は、守備時はもちろん攻撃時ですら、ボールのラインよりも後ろに常に7~8人を残し、モナコ最大の武器であるカウンターアタックの機会をほとんど与えなかった。2つの得点はいずれもディバラ、D.アウベス、イグアインの3人「だけ」で決定機を作り出し、奪ったもの。

 終始攻勢に立って力の差を見せつけ3-0で勝った前日のレアル・マドリーとは対照的に、スペクタクルのかけらもない試合ではあったが、そうやって恐ろしく効率的に勝利という結果を手に入れるのがユベントスのやり方である。その意味ではバルセロナとの2試合と同様、完璧な勝利だったと言うことができるだろう。

(文/片野道郎)



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次週も2試合をレビュー予定、お楽しみに!

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