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Photo: Getty Images

2017.05.03 20:00

REVIEW

UEFA CHAMPIONS LEAGUE / SF 1st leg

アトレティコに重くのしかかった唯一のチャンス逸

勝負を分けたワンプレー:Rマドリー 3-0 Aマドリー


UEFAチャンピオンズリーグ全試合を放送する『スカパー!』と『footballista』がコラボレーション。注目カードの勝敗を分けたポイントを、『footballista』執筆陣が詳細に分析する。


 良いところなく敗れたアトレティコ・マドリーにとって、異なる結果を持ち帰るチャンスがあったとすれば、それは17分のシーンだろう。

 サウールの背後からベンゼマが突いたボールが敵陣バイタルエリアでコケに渡り、コケのスルーパスを引き出したガメイロがDFラインの裏に抜け出すも、素早く飛び出したケイラー・ナバスに阻まれた。

 これを決めていれば、アウェイゴールを奪われたレアル・マドリーはより前がかりに攻めざるを得なくなり、アトレティコにカウンターを仕掛けるチャンスが増えていたはずだ。

 だが実際は、これがアトレティコにとって唯一のチャンスとなる。それ以降もマドリーの守備陣やアンカーのカセミロがイージーなミスを犯し、自陣の危険な位置でボールを失うシーンがたびたびあったにもかかわらず、アトレティコの選手たちはそれを生かすことができなかった。

 それでもいつもの彼らであれば、たとえ攻撃陣が不発に終わろうともしっかり守り抜くことでセカンドレグに望みを繋いでいたはずだ。

 しかし、この日のアトレティコはいつになく守備が脆かった。

 マドリーはいくら中盤でポゼッションを高めようと、アタッキングサードに入ってからの崩しはサイドからのクロスがほとんどだ。もちろんロナウドのフィニッシャーとしての能力は脅威だが、ゴディンを筆頭に空中戦の強さではアトレティコも負けていない……はずだった。

 しかし、実際は違った。10分の得点はCKのクリアボールを立て続けに拾われ、ゴール前に放り込まれたボールをロナウドに仕留められた。

 73分の2失点目のシーンでは、左サイドのマルセロがバイタルエリアのベンゼマにグラウンダーのくさびを入れた際、ゴディンがボールへ飛び込もうとしたものの難なくベンゼマに体でブロックされ、力なくピッチに尻もちをついた。

 さらに、ベンゼマが右のロナウドに出したパスにフィリペ・ルイスが不用意に飛び込んだ結果、あっさり入れ替わられたロナウドにたっぷりと時間をかけてゴールネットを揺らす余裕を与えることになった。

 攻撃陣の不発に加え、ベースとなる堅守まで崩れてしまっては苦しい。1カ月前のリーグ戦でのダービーでゲーム終盤の同点ゴールを生み出したシメオネの交代策もこの日は効果なく、途中出場のトーレス、ガイタン、アンヘル・コレアの3人はまったく見せ場を作ることができなかった。

 一方、勝ったレアルマドリードは絶好調の3選手――マルセロ、カルバハル、イスコ――を生かした[4-3-1-2]のシステムがはまった。

 トップ下のイスコは中盤を自由に動きながらモドリッチ、クロースらとともにボール動かし、ポゼッションを通したゲーム支配に貢献。両SBの2人はMFの4人が中央寄りでプレーする分、空いたサイドのスペースを存分に生かして攻撃参加を繰り返した。

 ハーフタイム直前にはカルバハルが負傷退場するアクシデントに見舞われたが、驚きの先発落ちとなった好調のナチョが代役をまっとう。選手たちの動きが落ちてきた後半半ばにはアセンシオを投入して中盤横並びの[4-4-2]、さらに2-0とした後はルーカス・バスケスを入れて[4-1-4-1]へとシステムを変更し、守備を安定させながらカウンターでダメ押しの3点目を決めるという理想的な展開に持ち込んだ。

 1カ月前のダービーでは1-0とした後に攻勢を緩めた結果、85分に同点ゴールを奪われたジダンだが、今回はその教訓を生かしてしっかり勝ち切る采配を貫いた。

 一方のシメオネは攻守に自分たちのプレーができず、打開策となるプランBも持ち合わせてはいなかった。

 「不可能だとは思っていない。まだセカンドレグがある。選手やファンには、逆転は可能だと言いたい」

 試合後シメオネはそう口にしたが、ビセンテ・カルデロンの魔力を持ってしても3-0を覆すのは厳しそうだ。

(文/工藤 拓)



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今夜のモナコ対ユベントスは片野道郎さんがレビュー、こちらもお楽しみに!

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