BVBvBEN_review

Photo: Bongarts/Getty Images

2017.03.09 19:00

REVIEW

UEFA CHAMPIONS LEAGUE / R16 2nd leg

“決勝点”を引き出したシュートフェイント

勝負を分けたワンプレー:ドルトムント 4-0 ベンフィカ


UEFAチャンピオンズリーグ全試合を放送する『スカパー!』と『footballista』がコラボレーション。注目カードの勝敗を分けたポイントを、『footballista』執筆陣が詳細に分析する。


 CKからのオーバメヤンのゴールで先制、ドルトムントがアウェイでのファーストレグで喫した1点を返し、この時点で合計スコアを1-1とした。

 勝負を決めたのはプリシッチの2点目だ。ピシュチェクからのパスを受けてDFラインの裏へ抜け出し、GKとの1対1を浮かせたシュートで決めた。その後、オーバメヤンの2ゴールで4-0、終わってみれば2試合合計4-1。楽々と勝ち抜いた感があるが、プリシッチの2点目が決まるまでは、ベンフィカのGKエデルソンに決定機を相次いで阻止されていた。まだどちらに転ぶかわからない状況を変えた点で、2点目には大きな価値がある。

 ベンフィカのクリアボールを拾ったドルトムントは右へ展開、ピシュチェクが中央右寄りでパスを受ける。この時、プリシッチはベンフィカの2人のCBルイゾンとリンデレフの間にいた。ピシュチェクの顔が上がる瞬間、プリシッチはリンデレフの面前を通って縦パスを引き出し、そのまま抜け出してGKと1対1、エデルソンと交錯する寸前に右足でボールをチップして決めている。

 このシーンのポイントは、ピシュチェクがシュートモーションからパスを出したこと。結果的にプリシッチに振り切られることになるリンデレフだが、自分の右側にプリシッチがいることは直前に目視している。また、自分の背中側を走られたのではなく、面前を通過されているので見失っていたわけではない。にもかかわらず、プリシッチを逃がしてしまったのは、ピシュチェクがシュートのモーションに入っていたからだ。おそらくシュートのコースを予測してフリーズ状態になってしまったのだろう。その間に、プリシッチに目の前を走り抜けられてしまった。

 ピシュチェクがパスを受けた時のコントロールは完璧ではなかった。ほんの少しだが、ボールが体から離れ過ぎている。本来なら、もっと足下にピタリと止めたい場面だ。そうすれば止めてから蹴るまでの時間はより短くなり、ベンフィカの守備陣に対応する時間、予測の時間を与えないで次のプレーができるからである。その点ではプリシッチの動き出しもやや早い。ピシュチェクがピタリと止めていたならジャストだが、実際にはボールが体から離れていてパスまで少し時間が必要だった。プリシッチは早く動き過ぎたためにリンデレフに捕まえられる可能性があったわけだ。

 しかし、ピシュチェクがコントロール後に大きく一歩踏み込んでキックモーションをしたために、リンデレフはボールを注視してしまいプリシッチを取り逃がした。こうしたスルーパスを成功させるには、シュートフェイントや顔を別の方向へ向ける(ノールック)といった、一瞬でもDFの動きを止める工夫が効く。そのコンマ数秒が成否を分けることも多い。わずかな機転がドルトムントを勝ち抜けへと押し上げた瞬間だった。

(文/西部謙司)



この試合のハイライトをスカパー! サッカーUCLページで配信中!
次週も各試合日1試合をレビュー予定!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加