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“ロナウド効果”はいかほど?ユベントスが2018-19の決算報告

2019.09.24

増収だが赤字も増加

 20日、ユベントスが2018-2019シーズンの決算を発表した。メディアインパクトが強烈なクリスティアーノ・ロナウドの獲得によりどういった経済効果が現れるか、注目された初のレポート。総収入は6億2150万ユーロ(約746億円)と前年度比で1億1680万ユーロの増加となった。ただ一方で、赤字も2070万ユーロ増加、3990万ユーロ(約48億円)という結果になった。

 総収入から、選手の売却によって得られるキャピタルゲイン分を除くと4億9440万ユーロ。これは前年度と比較し、なんと8400万ユーロ以上の増加となっている。入場料収入は前年度の5641万ユーロから7065万ユーロに、またマーチャンダイジング収入も2779万ユーロから4402万ユーロにと、様々な分野で軒並み増収。『ガゼッタ・デロ・スポルト』紙は「ロナウド獲得の最初の効果が見られた」と報じている。

 しかし、人件費が2億3331万ユーロから3億133万ユーロへと大幅に増加。他にも固定資産の減価償却などで計上した4150万ユーロ等が主因となり、最終的に総支出額は赤字ということになった。

3億ユーロ増資。5カ年プランを同時発表

 この状況に対応するべく、ユベントスはこの日さらなる経営プランを発表した。2019-20シーズンから始まり2023-24シーズンに至るまで、総額3億ユーロになる莫大な増資の計画である。筆頭株主である投機会社のエクソールが63.77%を受け持つことになるという。増資の理由についてクラブは「競技上の競争力を維持するために必要な投資を資本の裏付けを保証し、また収入増のための経営戦略とユベントスの国際的なブランド展開を支え、クラブの資産価値を増強するため」と説明した。

 「昨季から始まったユベントスの変革は続いている。経営陣はクラブを欧州のメガクラブの金融的規模に引き上げようとしている。クリスティアーノ・ロナウドの移籍は単なる戦力補強ではなく、ファイナンス上のオペレーションでもあった」

 一般紙『ラ・レプッブリカ』は21日、経営面に力を入れるクラブの姿勢についてこう報じた。CR7を保有することで、クラブとしてのブランド価値を上げ投資やスポンサーの参入を呼び込むという戦略だ。

 数日前、ウルトラスのリーダー12人が、ダフ屋行為を働くためのチケットの都合などを求めてクラブを脅迫した容疑で逮捕された。「こうしてクラブがウルトラスと一線を引くようにしたのも、ステークホルダーを気にし出したということの表れ。カルチョに寄生して生きる(ウルトラスの)価値観は古いものとなりつつある」と指摘するメディアも存在する。ユベントスの変革は、様々な意味でここからが本格化しそうだ。


Photo: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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